ロンドンから東京へとツイッターを介して情報がめぐり、気仙沼で孤立した被災者を電撃的に救出――。東日本大震災から1年、救出劇の当事者となった障害児童施設の園長が都庁を来訪した。

ロンドンの長男に「火の海 ダメかも がんばる」とメール

 3月16日に都庁を訪れた気仙沼市社会福祉協議会マザーズホーム園長の内海直子さんらと会談した。内海さんら400人以上は、津波と火災で孤立した避難所にいたところを、東京消防庁のヘリコプターによって救出された。

救出された気仙沼市立一景島保育所の子どもたちと職員のメッセージが書き込まれた冊子を手にする猪瀬直樹副知事。中央がマザーズホーム園長の内海直子さん、左が一景島保育所長の林小春さん
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 震災当日、気仙沼市は巨大な津波に飲み込まれたあと、船から漏れた重油が引火して発生した猛烈な火災に襲われた。暗闇のなか、真っ赤に燃えつづける気仙沼の街並み。そのとき内海さんらは、同市の中央公民館に避難していた。

 生まれたばかりの赤ちゃんから5歳児まで70人、10日後に出産予定の妊婦や90歳以上の高齢者を含む合計446人が取り残され、道路も情報網も寸断されて孤立していたのである。

 唯一、通じた連絡手段が携帯メールだった。内海さんは、イギリス・ロンドン在住の長男・直仁さんに「火の海 ダメかも がんばる」とメールを打った。携帯電話は電池切れ寸前だった。母の危機的状況を察知した直仁さんは、ふだん利用していたツイッターに書き込み、奇跡を信じることにした。

「拡散お願いします!」障害児童施設の園長である私の母が、その子供たち10数人と一緒に、避難先の宮城県気仙沼市中央公民館の3階にまだ取り残されています。下階や外は津波で浸水し、地上からは近寄れない模様。もし空からの救助が可能であれば、子供達だけでも助けてあげられませんでしょうか。

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