日本の政府債務残高が1000兆円にも上り、財政破綻は避けられないといったおどろおどろしい雑誌の見出しを、電車の釣り広告などで見かけることが多くなってきました。おそらく次に気になるのは、万が一、日本に危機が訪れるとして、どんな準備をしておくべきなのかということでしょう。2月13日号の特集は「資産逃避」と題し、こうした疑問への答えを用意しました。
特集では上記のような危機感や、日本政府が目指す税負担の引き上げに備える個人の動きを追いました。
法に触れるリスクを冒してまで現金を手荷物で海外に運び出す実業家。相続税の回避まで考慮し、資産を徐々に海外の資産管理会社に移管し、移住まで視野に入れる資産家。日本の教育に不安を感じ、シンガポールに移り住んだ研究者。足元では円高傾向が止まらず、こうした個人マネーの流れは限定的ですが、「日本を見限る」動きが出始めているのも事実です。
記事を執筆する際に思い出したのは、2010年初頭に会った米大手格付会社のあるアナリストの言葉でした。「日本には信用を支える柱がいくつもあり、危機が容易には表面化しない。だが、これはある意味、不運なことかもしれないよ」、というものでした。
日本は貿易収支が赤字に転落したとはいえ、経常収支はまだまだ黒字を保っています。対外純資産は世界一。外貨準備も昨年末時点で1兆3000億ドル近く(約100兆円)あります。豊富な個人金融資産や負債圧縮を急ぐ企業にも助けられ、国債は円滑な消化が続いています。長期金利が1%前後で推移していることは、現時点では日本財政への信認が揺らいでいないことの何よりの現れでしょう。
ただ、このアナリストは、こうした強靱な日本経済の足腰が、かえって財政のひずみを深めていると指摘したのです。彼がその時、比較対象にしたのは韓国でした。最近はサムスン電子など韓国企業の国際競争力に注目が集まっていますが、国家としての韓国は外貨準備や家計の金融資産で日本にはまだ及びません。そのため、過去のアジア通貨危機ではウォンが売り込まれ急落しました。最近の欧州危機でも、為替相場はウォン安に振れやすい状況でした。
国民生活への影響は避けられませんが、結果として輸出産業は速やかに立ち直ります。さらに、危機感を伴った企業の構造改革も大胆に実行しやすい。アジア通貨危機後に、財閥グループの大胆な再編が行われたのは記憶に新しいところです。
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