米国プロフットボールNFLの決勝「スーパーボウル」が、先日行われました。僕は毎年この日は仕事を休んで日本時間午前中の生中継を観戦するのですが、いつも不思議に思うのが、決勝に全く関係のないチームのファンまでもが、それぞれのチームのレプリカジャージを着てスタジアムやその周辺に集まることです。

 決勝進出チームがどこであっても、全米を1週間前から沸き立たせるシカケはどこにあるのか。本書では、NFLや野球のMLB、バスケットボールのNBAなど米国プロスポーツの経営戦略について、米国のスポーツマーケティング会社代表の筆者が解説しています。

 プロスポーツ球団が企業価値を高めるには、チームの勝利を通じて観客増や広告増を実現するしかないように思いますが、本書には別の観点でユニークな経営を展開しているさまざまな球団の例が登場します。特に度肝を抜かれたのは、「Fun is Good!」(楽しいことは良いことだ)に特化し奇抜な企画を次々実行する、ある野球マイナーリーグ球団です。企画の中には、チャンスに代打を出すかを観客の多数決で決めたり、試合前にグラウンドキーパーが打撃練習を行ったりするのもあります。

 試合の行方に影響する選手起用の判断を観客にゆだねたり、試合前の貴重な時間を選手でないスタッフの“お遊び”に費やしたりするのにはワケがあります。選手・フロント・ファンが同じ立場で盛り上がり、一体となって楽しさを追求することで、多くの球団が追求する「勝利」とは違う分野での価値観提供、いわゆる「ブルーオーシャン」戦略を遂行しているというのです。

 競合のいないブルーオーシャンでの価値向上は、どんな企業でも理想とするところです。しかしそのために取られる戦略が、本当にブルーオーシャンを目指すものなのか、中途半端なケースもあります。本書には明確には書かれていませんが、この球団は試合の勝利は度外視しているとしか思えません。しかしそれほど大胆なことをやらなければ、ブルーオーシャン戦略は実現できないことを、この事例は教えてくれます。

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