日本の政府の税収は40兆円程度である。それに対して政府の財政は90兆円を超える規模である。この数字を見て、異常さを感じない人はいないはずだ。税収でまかなえる部分は政府支出の半分以下にすぎない。他の大半は借金でまかなっていることになる。
明治維新以来、3度目の異常事態
実際、今の政府の税収は公債金収入、つまり政府の新たな借金よりも小さくなっている。こんな異常事態に陥ったのは明治維新以来3度しかないという。西南戦争の時、第二次世界大戦直後の昭和21年(1946年)、そして現在である。普通の時代ではあってはならない異常事態が起きている。
興味深いことに、数字の上で財政がこれだけ危機的状況にあるにも関わらず、国債市場は平穏であるということだ。1000兆円、つまり国内総生産(GDP)の200%前後の政府債務を抱えているのに 、日本の国債の利回りはきわめて低い。10年物の国債の金利でも、1%前後という歴史的な低さである。ちなみに、財政危機で問題になっているギリシャやイタリアの政府債務の対GDP比の大きさは日本よりもはるかに小さい。
数字の上で見るかぎり、日本の財政状況は非常に深刻であるものの、国債市場は非常に平穏であり、銀行などの金融機関はあいかわらず膨大な国債を購入し続けている。
財政状況が悪いのにも関わらず、国債の金利が低位で安定しているのには経済的な理由がある。デフレである。デフレの下で、日本の家計部門も企業部門も支出に対して非常に慎重になっている。家計部門は、将来の雇用や年金などに不安を抱えており、消費支出をできるだけ切り詰めて、貯蓄に回そうとしている。
家計部門が持っているネットの金融資産、つまり住宅ローンなど負債の部分を差し引いた金融資産の額は、年間可処分所得のおおよそ4倍である(米国は3倍、ドイツやフランスは2倍程度)。10年前には3倍程度であったので、この10年ほどの間に家計は年間可処分所得程度の金融資産を積み増していることになる。だから内需が振るわないので景気が悪い。それにも関わらず、金融機関には家計の貯蓄が積み上がっている。
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