• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
日経マネーDIGITAL

CFA流『さんない』投資塾

第17回 下がった株や投信にどう対処するか

2011年12月28日(水)

世界的な金融アナリストの資格であるCFA。日本でプロ

として活躍中の現役バリバリCFAの有志が日経マネーの読者に向けて、毎月交代でコラムを執筆します。初心者や投機や短期投資のみが投資だと思っている方に、本当の投資、資産運用を知っていただきたいと思います。合言葉は、「急がない、やめない、無理しない」。毎月1回の更新です。
CFAって何?という方はこちらからどうぞ。→ ごあいさつ

びとうファイナンシャルサービス株式会社


代表取締役 尾藤 峰男,CFA

日本株は、1990年から20年以上も長期低迷が続き、2000年以降は、米国でも失われた10年といわれ、100年に一度起きるかというイベントが繰り返し続き、手持ちの株式や投信でかなりの損になっていたりする人も多いでしょう。

そこで、下がったまま持っている株や投信にどう対処したらいいか、ここでよく考えてみたいと思います。「塩漬け」にしたままの状態がかえってリスクを大きくし、損をさらに拡大させることにもなりかねません。この下がったまま持っている株や投信にどう対処するかは、資産運用で非常に大切なポイントといってもよいでしょう。

下がった株や投信にどう対処するかは、投資成果を決定的に左右する

「塩漬け」という言葉は、蓋をして封印するというイメージがありますが、そう受け止めてしまうのは危険です。「塩漬け」にしておいても、株価は常に動いていて、リスクが減るわけではありません。日本株だけに投資したり、あるいは自社株や相続した株など特定の株に集中したまま「塩漬け」にしていると、リスクが高いままずるずる下がったり、大きなイベントで急落したりして「塩漬け」がいい結果を生まないことが多いのです。下がったまま持っている株や投信に適切に対処することが、リスクを減らしリターンをあげることになるといってもよいでしょう。

下がっている株や投信をなかなか手放せないのも、その気持ちが大きくかかわるからです。下がっている損を、手放すことにより実現させたくないという気持ち、持っている限りは損をしないという気持ち、「あそこ(買値)まで戻れば」と願う気持ちが、手放すことを妨げるのです。しかし、その「あそこ(買値)」は、だれも気にかける株価ではなく、あなただけが願っている株価なのです。

たとえば、日本株を下がっても、ここ10年、20年、あるいはそれ以上持ち続けていると、どうなっていたでしょう。日本株を、日経平均構成銘柄を買ったとして27年持っていると15%マイナス、20年持っていると3分の1になっていて、10年持っていると4割下がっています。外国に分散しないで日本株だけを買うことによる、このような結果は、長期投資が、必ずしもそれだけでは効かないことを示しているのです。

また、自社株とか親から相続した特定の株式を大きな固まりとして持つことが多いので、大きく下がって多大の損失を被るということが起きます。数分の1、あるいは10分の1以下というケースも珍しくありません。

気持ちを排除して、持ち続けるか否かの判断基準とは

そこで、もともと「放したがらない」気持ちを排除して、持ち続けるか否かを判断するためには、その判断基準をはっきりさせることが必要です。それを、ここであげてみましょう。

●1●いいと思って買った理由やシナリオは今も活きているか

買う動機となった、当時の競争力、収益性、成長性が変わっていないか、買った時の投資妙味は今でもあるか、冷静に考えてみなければなりません。買った時の状況からすでに大きく変化していて、競争力や収益性、成長性が他社に劣るようになったり、事業自体がコモディティ化して収益性、成長性が望めなくなったりするような場合には、手放すことを検討する必要が出てきます。

●2●下がったまま持っている株が、大きな固まりになっていないか

親から相続した株や自社株の場合、時には1つの銘柄で、金融資産の相当部分を占めてしまっているというようなことがよくありますが、それ自体が危険です。大きな固まりになっていると、その1つの銘柄の株価変動が、非常に大きな影響を持つからです。

多くの個人になじみがある代表的な企業で、株価が10分の1になっているものも珍しくありません。特に、電力会社や金融機関の株が目立ちます。そして、こういう株の大量保有は、相続した株で多くなっています。金融資産のかなりの部分を1つの株で占めている場合、この金額の大きさを喜ぶのではなく、たくさん持ってしまっていることのリスクを十分に自覚しないといけません。

●3●(投信の場合)残高は十分あるか

下がった投信で、手放したほうがいいかどうかの判断基準は、残高が十分あるかというところに目を向けるべきでしょう。持っている投信の残高が順調に増えている場合はいいのですが、数百億円集めたのに、気がついたら残高が数十億円しかなくなっているというような状態は、気をつけなければなりません。見えない内部の取引コストが高くなることも、十分考えられます。また残高が少なくなれば、繰上償還のリスクも考えておかなければなりません。

大事なのは、いいものに移すという考え方

長年持っていると、「塩漬け」といいながら妙に愛着を持ってしまったり、「何をいまさら、ここまで持ったのだから」と意地になったり、あまりにも下がりすぎて金額的に持っていても負担に感じなくなったりして、人間の気持ちが、容易に手放させません。しかし、その気持ちと株価の動きには「何の関係もない」のです。ここを忘れてはいけません。業績が悪くなれば、その気持ちを慮ることなく、どんどん下がります。

ここで大事になってくるのが、いいものに「移す」という発想です。いいものに移すということは「これまでのものは悪い」ということです。そして、「悪いものからいいものに移しましょう」と考えるのです。そうすれば、あまり抵抗なく、手放せるようになります。

では「これまでのものは悪い」とはどういうことか-これが、先ほど話した、持ち続けるか否かの判断基準になるわけです。

・いいと思って買った理由やシナリオが、いまは活きていない。

・大きな固まりになっていて、分散されていない。

・投信の残高がきわめて少なくなっている。

下がったまま持っていることのリスクは、その中身次第で、非常に大きなものになります。「塩漬け」にしておけば、いいわけではありません。一度、ここにあげた判断基準でご自分のポートフォリオを見直してみるとよいでしょう。





実際に運用に携わっている現役CFAが執筆するこのコラムでは、読者からの質問コーナーも設けます。投資について、どんな初歩的な質問でも結構ですのでどんどんお寄せ下さい(ただし、個別銘柄に関する相談や短期的な相場見通しについてはお答えできません)。
<このコラムへの質問はこちらからどうぞ>

このコラムについて

世界的な金融アナリストの資格であるCFA。日本でプロとして活躍中の現役バリバリCFAの有志が日経マネーの読者に向けて、毎月交代でコラムを執筆します。初心者や投機や短期投資のみが投資だと思っている方に、本当の投資、資産運用を知っていただきたいと思います。

<ごあいさつ>

日本CFA協会元会長/ウェルス・マネジメント・フォーラム代表幹事 岡本和久
「投資のプロたちが皆さんに本当にお伝えしたいこと」


このコラムでは質問コーナーも設けます。どんな初歩的な質問でも結構ですのでどんどんお寄せ下さい。
(ただ、個別銘柄に関する相談や短期的な相場見通しについてはお答えできません)。

<このコラムへの質問はこちらからどうぞ>
問い合わせ内容を「CFAに質問」としてください。

日本CFA協会 ウェルス・マネジメント・フォーラム(WMF)
日本CFA協会 ウェルス・マネジメント・フォーラム

 世界中の投資・資産運用業界でスペシャリストの証として認知されている専門家資格CFA。WMFは、日本におけるCFA資格保有者や受験者に対し、専門知識の向上と相互交流の場を提供している非営利団体「日本CFA協会」内において、CFAの持つ知識を少しでも一般投資家の方の役に立てたいと考えるメンバーが集まり2008年秋に結成された会。現在その啓蒙活動の範囲を徐々に拡大中。


日経マネーメールマガジンの登録(無料)はこちら

日経マネーのムック&書籍紹介

  • 『老後不安を解消!! 確定拠出年金(DC)をはじめよう 2017制度改正完全対応版』

    6月5日発売(907円+税)

    老後資産づくりのノウハウがつまった一冊。2017年から誰でも使えるようになった「確定拠出年金(DC)」は “幸せ老後"を迎えるために欠かせない資産形成の道具です。その仕組みやメリット、活用術を分かりやすく解説します。さらに積み立て投資の利点や、投資に回すお金のつくり方などについて多方面からまとめています。

  • 『ふるさと納税のすべてが分かる本 2017年版』

    11月22日発売(815円+税)

    昨年好評だった「ふるさと納税」ムックの2017年版が発売になりました。この本では、まだふるさと納税をやったことがないという人にも分かりやすく、寄付の仕方や、減税の仕組み、確定申告の手続きなどを解説。最新の返礼品も260品ご紹介しています。実質2000円の負担で様々な返礼品が貰えるこの制度、利用しないのは損です!

  • 『不動産で億万長者!』

    10月31日発売(1000円+税)

    不動産を活用した資産形成の本。「都心部・地方」「新築・中古」「一棟・一室・戸建て」と分け、それぞれの投資法の長所と注意点を分析。どの最寄り駅の物件がいいのかを選ぶ参考として「200駅 三大都市圏中古マンション利回りマップ」「家賃が下がりにくい駅 80駅」と保存版データを掲載。さらに「海外不動産投資」「REIT・不動産クラウドファンディング」など。

  • 『退職までやっておくべきこと!サラリーマンの為の退活読本』

    9月2日発売(1000円+税)

    なんとなく定年が気になってきた世代のサラリーマンが抱く疑問に答える1冊。50代で早期退職したら年金や退職金はいくら減る? サラリーマンOBは受け取った退職金をどうやって使っている? おひとり様はどんな老後準備をしておけばいい? 定年後の移住はどんな感じ? 60歳以降も働くとしたらどんな仕事でいくら稼げる?などなど、ちょっと気になるサラリーマンの定年後の生活を豊富な事例を交えながら紹介。

  • 『間違いだらけの相続&贈与』

    8月3日発売(926円+税)

    日経ビジネスとの共同ムック。2015年から相続税の大増税が行われ、課税対象になる一般家庭も増えています。しかし、間違った相続税対策も多く、それでは却って損をしかねません。「腕利き税理士&弁護士が教える賢い相続」など、このムックで正しい対策を知り、今すぐ始めましょう。

  • 『国債が暴落しても長期投資家は平気だよ』

    4月21日発売(1500円+税)

    日本国債はバブルとも言われる高値続き(利回りは低下)で、いつ暴落してもおかしくないと言われています。万一そうなれば経済の大混乱は避けられませんが、株式に長期投資していれば乗り越えられる、と澤上篤人さんは説きます。第2部ではさわかみファンドCIOの草刈貴弘さんが、サバイバルに役立つ銘柄選びの方法を伝授します。