「権威を信じない」が高じて「ガンになっても現代医学の治療拒否」
ミリオンセラーとなったアイザックソンによる評伝「スティーブ・ジョブズ」を元に、アップル創業者であるこの「不世出の天才」の創造の秘密に、精神医学から迫る試みをしている。
「できてはいけない子」として産みの母の胎内に宿り、出生直後、すぐに養子に出されたスティーブ・ジョブズ。出生に関する深い悩みが、彼の人格形成などに大きな影響を与えたのではないか、という話をしてきた。
もちろん、それが「権威を信じずに自分ひとりを信じる」という、彼の強靭な精神力や独自の創造力につながったことも確かだ。そしてそれがアップル社やマッキントッシュ、iPodやiPhoneを成功に導いた。
しかし、2003年、がんが発見されたときには、その「権威を信じない」という性質が、彼をあまり良くない方向へと導いたようだ。
伝えられている通り、ジョブズを襲った膵臓がんは「神経内分泌腫瘍」という珍しいタイプだった。膵臓がんには悪性というイメージが強いが、実はこのタイプは悪性度はあまり高くなく、適切な治療を行うことで長期間の生存も可能だ。
アイザクソンの評伝によると、「膵臓の影」がこのタイプの腫瘍だとわかったときに、「医師らは良かったと涙ぐんだ」とのことである。
ところが、がんが判明した後のジョブズの反応は、意外なものであった。手術は拒否する、と断固として告げたのだ。そして絶対菜食主義、ハリ治療やハーブ療法、心霊治療、さらにはネットで探した民間療法にまで手を出したといわれる。
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