あなたの知らない「男性更年期の世界」――男性ホルモン回復には筋トレと食事・リラックスが重要。そのやり方を全部伝授
泌尿器科医・堀江重郎氏に聞く(後編)
前編では、男性ホルモン「テストステロン」の低下が性的な問題ばかりでなく、男性更年期を招き、生活習慣病のリスクを高め、心の健康にも影響を及ぼすことについて聞いた。
仮に男性更年期になってしまったら、泌尿器科でテストステロン補充療法を受ければ、諸々の症状は解消する。しかし、それだけでは治癒したことにならない。大切なのは、健康リテラシーを高め、社会の中での自分の立ち位置、家族と自分の絆を見直し、生活習慣そのものを改善することなのだ。
そうしたホルモン力を上げるノウハウ全般について、帝京大学病院の堀江重郎教授に聞いた。
なお、男性更年期の実態については、精神科医の和田秀樹氏にもインタビューを敢行した。前編『あなたの知らない「男性更年期の世界」――いつか来る更年期に備え「幸せ解決」を図るには』では、老化の意味とそれを乗り切る基本的な考え方を聞いた。後編『「男性更年期」「老化」を乗り切る食事・生活そして「セックス」』では、男性更年期を賢く乗り切る生活習慣術について語っていただいた。併せて参考にしてほしい。
聞き手・文/吉田直人
ストレスがかかるとテストステロンが減少する
極端な場合ではなく、われわれが「境界型」と呼んでいるケースがある。
定年後3カ月くらいは生き生きと元気にしているが、半年くらい経って気がついてみると「家の中にごろごろ」して「急にがんこになり、いらいら」して、「元気がなく」、趣味のゴルフも行かなくなる。いわゆる濡れ落葉状態だ。奥さんが出かけようとすると「おまえどこに行くんだ?」と言うタイプ。こういう方は意外に多い。ご本人も不幸だし、周りのご家族も不幸になる。
こういう方も調べてみて、テストステロンが少ない場合に適切に治療すると、ご本人と家族のQOL(「Quality of Life」の略。ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質)が上昇する。
テストステロンを測ってみると、朝に高くて夕方に低くなる傾向がある。それなら、いったいテストステロンはいつ回復するかということが重要になる。テストステロンは寝ている間に回復する。つまり夜中に回復する。
ということは、睡眠障害があると回復できないということになる。LOH症候群(「Late Onset Hypogonadism」の略。加齢男性・性腺機能低下症候群とも呼び、いわゆる男性版の更年期障害)の方は大なり小なり睡眠障害を伴っている。従って睡眠は非常に重要だ。
テストステロンは精巣で造られるが、基本的には脳下垂体からその刺激ホルモンが出る。当然その上の視床下部の影響を受けているので、ストレスがかかるとテストステロンは減りやすいということが言われている。
恐怖がある、あるいは極端に怒っている場合、あるいはクレーマーと電話で対応する場合は、交感神経が刺激される。こういうことがずっと続くとテストステロンは下がっていく。やはり副交感神経を高めていくことが大切だ。
Next:リラクゼーションで副交感神経を高めよう
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