世界の流れと逆に、急激な人口減少期を迎えた日本の未来を考える本企画。第4回は「パラサイトシングル」や「婚活」などの研究で知られ、「少子社会日本」(岩波新書)の著作もある、社会学者の山田昌弘中央大学教授に話を聞いた。世界の中で、日本人はかなり独特な“結婚観”をもっているようだ。(インタビュー、文=福光恵)
少子化を招いた3つの方程式
1957年東京都生まれ。86年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。東京学芸大学教育学部教授を経て、2008年4月から中央大学文学部教授。専門は家族社会学、感情社会学、ジェンダー論。内閣府・男女共同参画会議・民間議員、基本問題・影響調査専門調査会会長、内閣府・幸福度に関する研究会・委員などを務める。著書に『パラサイト・シングルの時代』(ちくま新書)、『少子社会日本 もうひとつの格差のゆくえ』(岩波書店)、『なぜ若者は保守化するのか 反転する現実と願望』(2009)など。
「メロドラマがブラジルの少子化を加速した」
そんな記事が、ナショナル ジオグラフィック本誌に掲載されている。50年で出生率が三分の一にまで減少したブラジル。その影に、ブラジルの女性たちを熱狂させる「ノベラ」と呼ばれるテレビのメロドラマの存在があるという。ノベラに出てくるのは、高い教育を受け、男性と肩を並べて働いているヒロインたち。そしてたいていが、1〜2人という少ない子供しか産まない。そうした理想のヒロイン像が、一般の女性たちの多産を思いとどまらせている要因のひとつではないか。そう、記事は分析する。
これまで見てきたように、長い間、日本の人口は、天候や災害など、自然の力によって左右されてきた。また近代は、開国による社会システムの激変などによって、人口は大きくその数を伸ばしたりもした。とはいえこれらは、人口増減を招いた、いわば外的要因。一方、ブラジルで見られる「ドラマのヒロインに近づきたい」という思いは、それぞれの人の心のなかにすむ目に見えない要因といえる。
世界の人口が70億人を突破し、途上国が人口増にあえぐなか、少子高齢化の進む先進国のなかでも、そのトップを走る日本。外的要因に左右されにくくなった現代では、心理的要因が出生率に大きな影響を与えることも多そうだ。ではこの深刻な少子化を招いている、日本人の心に住む「ノベラ」は何なのか。
「パラサイトシングル」や「婚活」などの研究で知られ、「少子社会日本」(岩波新書)の著作もある、社会学者の山田昌弘中央大学教授はこう話す。
バックナンバー
- 第3回 「こんなに異常な『ヒト』の行動」 長谷川眞理子(行動生態学者)(2011年11月02日)
- 第2回 「日本が乗り越えてきた4つの人口の波」 鬼頭宏(歴史人口学者)(2011年10月26日)
- 第1回 「人口急変で日本は混乱の時代に」 石弘之(環境問題研究者)(2011年10月19日)















