トップ > 猪瀬直樹の「眼からウロコ」 > 猪瀬直樹:「汚染牛」問題はガバナンス不在による人災だ

猪瀬直樹の「眼からウロコ」ビジネス

猪瀬直樹:「汚染牛」問題はガバナンス不在による人災だ(1/5ページ)

機械的な出荷規制は乱暴な権力行使で戒厳令と同じ

2011.07.26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 暫定規制値を超える放射性セシウムが検出された「汚染牛」問題は、政治の不作為による人災である。そのツケを畜産農家に一方的に押しつけているのは許せない。

稲わらなどの飼養管理は自己申告だった

 7月9日、福島県南相馬市の肉用牛11頭から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されたとマスコミ各社がいっせいに報道した。原産地である福島県で検査できないため厚生労働省からの「依頼」で出荷先だった東京都が検査をした結果、国の暫定規制値1キロあたり500ベクレルを超える放射性物質が検出されたのである。

 汚染源が雨水を吸収しやすい稲わらにあったことが判明した後、福島第一原発から20~30キロ圏内だけでなく、100キロ以上離れた宮城県登米市や栗原市などの稲わらからも高い放射性物質が検出され、汚染が疑われる稲わらを食べた牛は、15道県から2600頭以上も出荷されており、流通ルートの確定と検査が急がれる。

 原発事故後、福島第一原発から20~30キロ圏内にあたる「緊急時避難準備区域」と「計画的避難区域」から肉用牛を出荷する際には、出荷前に「チェックシート」と「スクリーニング」、さらに出荷されたと畜場での「モニタリング」の2段階の検査を経ることになっていた。

 まず、餌や与えた水などの飼養管理について、原発事故後に野外に放置されていたものを使用していないか、屋内で飼育していたかなど、チェックシートによる確認を行っていた。ただ、自己申告であるため、確認には限界がある。今回も、餌の保管方法について虚偽の申告を行う畜産農家が存在した。

 あわせて生きている肉用牛の体表に検査器をあてて放射線量を測定するスクリーニングが全頭を対象に行われた。スクリーニングは、牛を殺す必要がなく、人手と時間も比較的かからないので、全頭検査が可能となっている。しかし、体表から調べるだけでは不充分で、牛の内部被爆を検査するには、牛をと畜場でと畜処理したうえで肉に含まれる放射性物質の量を調べる必要がある。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連トピックス

    • 会員登録 ログイン
    • マイフォローとは?
    nikkei BPnet 会員サービス
    トピックを選ぶ!フォローする 自分のメディアを組み立てる! マイフォロー

    ランキング一覧を見る

    おすすめ情報【PR】

    締切間近のセミナー