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梶原しげるの「プロのしゃべりのテクニック」ビジネス

梶原しげる:【157】「伝えたい」という思いは誰にも奪えない(後編)(1/6ページ)

病魔へのタックルをやめなかった、1人のビジネスパーソンの戦い

2011.06.30

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 「下の子が小学校に入学する姿を見られるだろうか――」

 いつも強気な夫、倉田真さんがふとこんな言葉を漏らしたときの表情を、妻は忘れることができない。学生時代はラグビー部に所属。卒業後は会社勤務の傍ら、週末はクラブチームで引き続きラグビーに熱中。大学時代に知り合った妻との間に二児を授かった。

 地元のクラブチームではキャプテンとして活躍。頑強な身体と優秀な仕事ぶりを買われ、中国での新規事業立ち上げに抜擢される。ちょうどそのころ、体の一部に違和感を覚えていたものの、家族とともに北京へ向かった。

 ところが病は徐々に、彼の全身の筋肉を蝕んでいく。帰国後、病院でALS(筋萎縮性側索硬化症)の告知を受ける。それが日々進行していることを思い知らされながらも、家族には愚痴ひとつこぼさない。

 そんな倉田さんだっただけに、その言葉は妻の脳裏に強く刻まれている――。

 身体の機能は徐々に失われていくが、脳や視覚、聴覚の状態は変わらない。見る、聴く、思考するということはできるが、話したり身振り手振り、表情で伝えることは、ほぼできない。

 ALS患者とのコミュニケーションがいかに大変かは、前編で記したとおりだ。ところが妻も子供たちも、父とのコミュニケーションにそう困難を感じなかった。それは前回紹介した「まばたき会話法」だけが原因ではなかった。理由はこの先で述べる。

 運動機能の衰えと反比例するように、倉田さんの情熱は一気に高まっていく。「生きている証を表現したい!」という思いが吹き出したかのように――。

残された時間を「自分以外の誰かのため」に

 その一つが、亡くなる1年半前、2009年10月にスタートさせたホームページ。「NAVY BLUE CHALLENGER MOVE FORWARD WITH STRONG HEARTだ。

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