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香山リカ 「アフター311」――震災後の社会マインド――ビジネス

香山リカ:原発事故対応で官邸の無能がさらけ出されたのは、能力の問題だけではなく「過覚醒状態」に指導者が陥ったから(7/7ページ)

2011.06.09

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指導者は危機時の心理的訓練を受けるべき

 この人たちは震災を機に思想的に転向した、と言えるのだろうか。

 それは違う。彼らは震災後、一時的に過覚醒状態に陥り、つい誇大的、情緒的な発言をしてしまっただけと思われる。

 パニックに陥って泣き叫んだり凍りついて動けなくなったりするか、過覚醒状態に陥って、いつもとはまった違った決断、判断、行動に出るか。

 ――どちらが良いという話ではないが、いずれにしてもその中で国家の命運を賭ける決断がなされるのは問題だ。

 「次の総理」話をするのはまだ早すぎるかもしれないが、ひとつだけ条件を挙げるとすれば、“想定外”のできごとが起きたとき、パニックにも過覚醒にも陥らず、通常の心理状態を保ち続ける訓練がされている人であるべき。つまり最低限、ストレスコーピングの訓練がされていなければならない。

 なぜなら国家運営で最大に重要なのは危機時の対応であって、そこにこそ国益や国民の利益を担保する最大のポイントが表出するからだ。

香山 リカ(かやま・りか)
香山 リカ(かやま・りか)

 精神科医・立教大学現代心理学部教授1960年7月1日北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒。
 学生時代より雑誌等に寄稿。その後も臨床経験を生かして、新聞、雑誌で社会批評、文化批評、書評なども手がけ、現代人の“心の病”について洞察を続けている。専門は精神病理学だが、テレビゲームなどのサブカルチャーにも関心を持つ。
 近著に「世の中の意見が“私”と違うとき読む本―自分らしく考える」(幻冬舎)、「生きてるだけでいいんです。」(毎日新聞)など多数。

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