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日経マネーDIGITAL

CFA流『さんない』投資塾

第9回 危機時に求められる個人の資産運用

2011年4月1日(金)
世界的な金融アナリストの資格であるCFA。日本でプロとして活躍中の現役バリバリCFAの有志が日経マネーの読者に向けて、毎月交代でコラムを執筆します。初心者や投機や短期投資のみが投資だと思っている方に、本当の投資、資産運用を知っていただきたいと思います。合言葉は、「急がない、やめない、無理しない」。毎月1回の更新です。 CFAって何?という方はこちらからどうぞ。→ ごあいさつ

びとうファイナンシャルサービス株式会社
尾藤峰男,CFA

今回の東日本大震災とその後に続いた原発事故で、市場は大きく乱高下しましたが、こういうときに、個人投資家は、どう対処したらよいのでしょう。日経平均が1日で1200円も下げれば、それは心配になるどころか、恐怖に駆られるほどの下げ幅です。また、ほんの数十分で、4円近くもドルに対し円高になれば、誰でも驚きます。特にこれが、自分のお金にかかわってくるものですから、なおさらです。
今回は、この時期に関心が高いテーマについてお話します。

大きく下げたからといって、あわてて売る必要はない

まず、大きく下げたからといって、広く分散された運用資産(以後、ポートフォリオ)をあわてて売る必要はありません。ここで注意すべきことは、運用方法は、広く分散されたポートフォリオの長期投資ということです。海外を含めた分散投資がポイントで、債券よりも為替リスクを吸収する株、海外ETFや個別株も、ぜひ組入れたらよいでしょう。また投資する国も、先進国や新興国に広く分散することが必要です。

アメリカの著名な投資アドバイザーのチャールズ・エリスは、「一度決めた正しい投資方針は変えるな」といっています。それには、マーケットの動きに打ち勝つ忍耐力も必要になってくるでしょう。しかし、何より大事なのは、忍耐できる支えとなる投資方針があるということです。正しい投資方針に拠って立つことで、特に乱高下が大きい時期をやり過ごすことができるのです。

投資方針とは、投資家のリスク許容度、リターン目標を踏まえて、内外の債券、株などの配分比率を決め、広く分散されたポートフォリオをつくるための方針です。

短期売買をすると、マーケットが大きく変動する時ほど、損が拡大する

今回のような非常に変動の激しい株式市場や為替市場の時に、短期投資をやると、時に怖いことになります。今回のように、日経平均が2日で1800円、1日で1300円も下がり、また対ドル為替で1日4円も動きますと損失が拡大し、信用取引やFXで証拠金を上回る損失が一瞬でも出た場合、強制決済が行われ、損が確定します。

では、その後強制決済させられた人は、すぐに株高や円安を見越して、買戻すでしょうか。そうする人はよほど勇気のある人で、多くの人が、一度損を出すとしばらく様子を見るでしょう。そうなると、翌日以降の2,3日での1000円の戻り、為替の4円の戻りの部分は、この人たちにとっては空白地帯で、何の取戻しもできず、損だけが残ったということになります。

そのまま持ちこたえていれば、日本株の部分は、安値からの戻りはすべて回復し、外国投資をしていても、円は戻って、3月19日現在80円65銭と、81円台だった2月と大して変わりません。このケースはあくまで結果、ということもあるかもしれませんが、多くの場合に、こうなる結末をたどる方が多いといってよいでしょう。

上下変動が激しい時は、しっかりとした投資方針の元につくられた十分に分散されたポートフォリオの長期投資で、じたばたしないで、どっしり構えているということが大事なのです。

安くなったら買い、高くなったら売る

長期投資前提で投資したものの、急激な株安で強い不安を感じ、損切りする人も多いようですが、これは、人間の心理が損を引き寄せる、もっとも陥りやすい罠といってよいでしょう。投資における鉄則は、市場が弱気のときは買い時で、市場が強気のときは売り時です。世界最高の投資家といわれるウォーレン・バフェットは、「人が恐れおののいている時に勇気を持って買い、熱狂している時は冷静に売れ」といっています。今回の下げのように市場が総弱気の時は買い場と考えて、むしろ買うことを検討してもよいのです。そのために、一定の現金を持っておくことは、大変賢明です。

投資で損をする人は、市場の動きに迎合して、市場が強気の時に買って、市場が弱気になったときに損切りするタイプです。そして、元のレベルに戻ってきたり、さらに上がってきたりすると、また市場に戻ってきて、高くなって買うというパターンを繰り返す傾向があります。

信用取引やFX取引など、レバレッジの高い投資にどう臨むべきか

まず、自分でリスク管理をしっかり行うことが必要です。取引の限度を自分の中であらかじめ決めておき、どこまで損を許容できるのか?最悪のシナリオを考えてやるべきでしょう。 信用取引やFX取引のようなレバレッジをかけた取引を行う場合は、追証になってもよい、ロスカットになってもよいという、損を許容できるまでのレバレッジにとどめるべきです。

また、全金融資産の何割まで短期投資に向けるかをあらかじめ、決めておくのもいいでしょう。たとえば、短期投資には全部の10%を向け、これがなくなったら止めるというようにあらかじめ決めておくのです。泥縄式に資金を注ぎ込むのは、もっとも避けたいところです。

まとめますと、現在のような変動が激しい時期の資産運用は、しっかりとした投資方針を持って、長期・分散投資でやり過ごすことです。また、大きく安くなったところを買うというような冷静な目があってもよいのです。

実際に運用に携わっている現役CFAが執筆するこのコラムでは、読者からの質問コーナーも設けます。投資について、どんな初歩的な質問でも結構ですのでどんどんお寄せ下さい(ただし、個別銘柄に関する相談や短期的な相場見通しについてはお答えできません)。
<このコラムへの質問はこちらからどうぞ>
このコラムについて

世界的な金融アナリストの資格であるCFA。日本でプロとして活躍中の現役バリバリCFAの有志が日経マネーの読者に向けて、毎月交代でコラムを執筆します。初心者や投機や短期投資のみが投資だと思っている方に、本当の投資、資産運用を知っていただきたいと思います。

<ごあいさつ>

日本CFA協会元会長/ウェルス・マネジメント・フォーラム代表幹事 岡本和久
「投資のプロたちが皆さんに本当にお伝えしたいこと」


このコラムでは質問コーナーも設けます。どんな初歩的な質問でも結構ですのでどんどんお寄せ下さい。
(ただ、個別銘柄に関する相談や短期的な相場見通しについてはお答えできません)。

<このコラムへの質問はこちらからどうぞ>
問い合わせ内容を「CFAに質問」としてください。

日本CFA協会 ウェルス・マネジメント・フォーラム(WMF)
日本CFA協会 ウェルス・マネジメント・フォーラム

 世界中の投資・資産運用業界でスペシャリストの証として認知されている専門家資格CFA。WMFは、日本におけるCFA資格保有者や受験者に対し、専門知識の向上と相互交流の場を提供している非営利団体「日本CFA協会」内において、CFAの持つ知識を少しでも一般投資家の方の役に立てたいと考えるメンバーが集まり2008年秋に結成された会。現在その啓蒙活動の範囲を徐々に拡大中。


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