トップ > 大前研一の「産業突然死」時代の人生論 > 大前研一:福島第一原発で何が起きているのか――米スリーマイル島原発事故より状況は悪い

大前研一の「産業突然死」時代の人生論ビジネス

大前研一:福島第一原発で何が起きているのか――米スリーマイル島原発事故より状況は悪い(10/10ページ)

2011.03.15

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

国民が「電気の節約」を積極的に行うしかない

 今回の事故から得られた教訓を生かせば、今後さらに安全性の高い原子力発電所の建設・運営も可能になるかもしれない。しかし前述の通り、それは世論が許さない。世界を見回しても、中国のような国家主導のところはともかくとして、少なくとも先進国では原発の推進は非常に難しくなる。日本は「原発の輸出に力を入れていく」というが、これから日本の原子炉を買ってくれる人はいなくなると覚悟すべきだ。

 それほど今回の事故は本質的な問題を全て露呈させたモノである。アメリカもドイツも原発の建設が30年間なくなって、結局技術者が霧散してしまった。フランスと日本が漁夫の利を得たと思われたが、少なくとも日本は脱落した。原発技術者は残った炉の安全運転に従事するか、中国などに行って生計を立てるしかない。そこまでの結論は既に出たものと思った方がいい。

 となれば、家庭や事業所で使う電力を35%(日本の総発電量における原発の割合)減らすとか、家電製品は最低30%の省エネ性能をクリアしたものしか売ってはいけないといった対策をとる。あるいは、湯水のように電力を使用している国民の生活を改める。そうしたことが我々にできる目下の現実的な解決策ではないだろうか。

 幸い日本経済は全く成長していないので、これはできない相談ではない。今回の反省から全ての原発を再点検し、必要な施設の付加をして生かせるものは生かす。しかし、新たな炉の建設や今回のような恐れのある炉は廃炉とするしかない。国民はその不便を「電気の節約」という行動で積極的に甘受するしかないだろう。

■コラム中の図表は作成元であるBBT総合研究所(BBT総研)の許諾を得て掲載しております
■図表、文章等の無断転載を禁じます
■コラム中の図表及び記載されている各種データは、BBT総研が信頼できると判断した各種情報源から入手したものですが、BBT総研がそれらのデータの正確性、完全性を保証するものではありません
■コラム中に掲載された見解、予測等は資料作成時点の判断であり、今後予告なしに変更されることがあります
■【図表・データに関する問合せ】 BBT総合研究所, http://www.bbt757.com/bbtri/
大前研一の「「産業突然死」時代の人生論」は、09年4月7日まで「SAFETY JAPAN」サイトにて公開して参りましたが、09年4月15日より、掲載媒体が「nikkeiBPnet」に変更になりました。今後ともよろしくお願いいたします。また、大前氏の過去の記事は、今後ともSAFETY JAPANにて購読できますので、よろしくご愛読ください。
『大前研一 洞察力の原点 プロフェッショナルに贈る言葉』 (大前研一著、日経BP社)
◎目次
序――私の思考回路に焼きつけた言葉/答えのない時代に必要なこと/基本的態度/禁句/考える/対話する/結論を出す/戦略を立てる/統率する/構想を描く/突破する/時代を読む/新大陸を歩く/日本人へ
◎書籍の購入は下記から
日経BP書店Amazon楽天ブックスセブンネットショッピング
◆「大前研一の著書に学ぶ『洞察力の磨き方』」はこちらをご覧ください。
大前 研一(おおまえ・けんいち)
大前 研一(おおまえ・けんいち)

 1943年、福岡県に生まれる。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。
 2005年4月に本邦初の遠隔教育法によるMBAプログラム(ビジネスブレークスルー大学院大学)が開講、学長に就任。経営コンサルタントとしても各国で活躍しながら、日本の疲弊した政治システムの改革と真の生活者主権の国家実現のために、新しい提案・コンセプトを提供し続けている。
 著作に『さらばアメリカ』(小学館)『新版「知の衰退」からいかに脱出するか?』(光文社知恵の森文庫)『ロシア・ショック』(講談社)など多数がある。

大前研一氏のホームページ:
  http://www.kohmae.com
ビジネスブレークスルー:
  http://www.bbt757.com

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 会員登録 ログイン
  • マイフォローとは?
nikkei BPnet 会員サービス
トピックを選ぶ!フォローする 自分のメディアを組み立てる! マイフォロー

ランキング一覧を見る

おすすめ情報【PR】

締切間近のセミナー