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好感をもたれる敬語入門

第10回 「マニュアル敬語」は信頼を失う

たいへんお世話になっております。X(企業名)のA(個人名)と申します。

 このような書き出しのメールが来る。Aさんと面識がある場合は、「Aと申します」が引っかかる。初めてのメールだとしたら、最初の挨拶が不可解だ。

 むろん、この書き方で全く問題のないケースもある。Aさんが他社のBさんに初めて連絡する場合でも、すでに両社の間に取引があるとか、X社の別の社員が過去にBさんとコンタクトをとっているとかなら、これでよい。しかし、それ以外の場合は、言葉の使い方に注意が必要だ。

引き出しをたくさん用意して、最適な表現を取り出そう

 初めてのとき、これから世話になるときは、「お世話になります」と言えば(書けば)いい。「お世話をする」ことになる場合もあろうが、それは関係ない。ビジネスはお互い様だ。初めてでも「いつもお世話になっております」と言う(書く)のが商取引の現場では常識、という説もあるが、こうした決まり文句、いわばマニュアル語に慣れてしまうと、いざ必要になったときに言葉の使い分けができなくなる。

 同じ「世話になる」でも、「お世話になります」「お世話になっております」「いつもたいへんお世話になっております」「先日はたいへんお世話になりました」「その節はお世話になりました」など、さまざまな言い方がある。努力して引き出しをたくさん用意しておいて、時と場合に応じてその中から最適な表現を取り出す習慣をつけておくと、あとあと楽だ。

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