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芦田宏直の「ストック情報武装化論」

第8回 ストック論としての存在論(1)(2/9ページ目)

機能主義と吉本隆明『言語にとって美とは何か』 ― 「ストック」論としての自己表出論

 さて、私の連載も残るところ後3回。この連載のタイトルは「ストック情報武装化論」となっている。「ストック」とは、機能主義がおざなりにするその中間としての〈中味〉のことである。そのもっとも偉大な、しかも勢力のある思想が機能主義だった。現在において機能主義でない思想など探すのに苦労するほどの隆盛だ。インターネットと高度情報社会そのものが機能主義の成果だからである。日常的に繰り返されている検索=コピペも機能主義なのである。

 私がこの機能主義について再度考えようと思ったのにはいくつかの動機があるが、大きなものの一つが、2009年の1月にNHK「ETV特集」に吉本隆明が初登場となった「吉本隆明 語る 〜沈黙から芸術まで〜」だった。

 そこで最後の声を振り絞るかのように「ファンクショナリズム」が問題なんだと吉本は言っていた。

 私は番組の中で急に出てきた「ファンクショナリズム」という言葉に最初違和感を持ったが、それを吉本は、彼の代表作『言語にとって美とは何か』の「指示表出」論に関わって取り上げていた。「指示表出」論は言語のファンクショナリズムなのである。その対抗概念が「自己表出」論だった。私はそのとき50年来の吉本読書の見取り図が出来上がる思いがした。表現の意味とは、指示表出(伝達)の自己表出(伝達できないもの)への超出なのだ。この超出をしたがって吉本は「悲劇」と呼んだりもしていた(私の吉本論についてはこちらを参照のこと)。

 吉本は、自己表出論において、機能主義を乗り越えようとしたわけだが(吉本にとって、「ストック」とは自己表出のことだったわけだが)、この私の連載の、残りの3回の課題は、「中味を問わない」機能主義が置き去りにする〈中味〉を、私なりの仕方で問うことである。

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