梨元勝さんが肺がんで亡くなった。

 梨元さんには20年以上前から、ラジオで、そして静岡ではテレビの番組でご一緒していたことがある。飲む時は大抵、梨元さんのおごり。それこそこちらは「恐縮」するばかりだった。元祖芸能レポーター梨元さんは、例の「恐縮デース」と満面の笑みを浮かべながら、実は結構強引で鋭く、時には失礼なこともへっちゃらで聞き出してしまう、軟派に見えて実はかなり硬派な方であった。スタッフにも遠慮がなかった。

 ご存じのようにテレビの芸能ニュースが、「局の事情」に左右される風潮にあらがい続けた信念の人でもある。ここ数年は地上波キー局のワイドショーには登場していない。政治の記者クラブ制度に上杉隆さんたちが異議を唱えているように、梨元さんは芸能ジャーナリストの立場で同じような仕組みに長らく戦いを挑んできたとも言えないか。

 「もう地上波なしには飯が食えないと言う時代は終わった。僕はね、ネットでガンガン、規制無しの情報を流していきますよ」。梨元さんが居酒屋で熱く語ってくれたのは、もう大分前のこと。情報収集の方法や、見せ方、サイトの単価、売り上げ目途等々、詳細なビジネスモデルは、テレビに頼らず自分の思いを貫く戦略としてとてもよく練られているなあと素人ながら感心したのを憶えている。

 それが程なく「梨元芸能!裏チャンネル」というサイトになり見事成功した。そのサイト発で様々なスクープが飛び出した。ところが、6月からはそこに梨元さんの癌闘病記が加わることになってしまった。

「ハワイのお正月」で見せた革新性

 梨元 年末年始にTVのワイドショーがハワイに取材陣を差し向けて、空港に降り立つ芸能人に話を聞くのがあるでしょう。あれ、レポーターはもちろん、カメラクルーだのディレクターだのの経費だけで結構なお金がかかるんだよね。僕だったら、市販のデジタルビデオを、1つは自分の頭に付けて、もう1つはマイクと共に手に持って、1人で豪華2カメ撮影が出来ちゃう。ネットだから、生でももちろん。収録直後、パソコンで編集して、現地からそのまま配信だってできる。デジタル様々だよね。

 一見「アナログ人間」の代表選手のような梨元さんは、相当早くから、こんなことを言い、実際にやっていたのだ。経費節減が叫ばれる現在のテレビ業界もそろそろこの手法を取り始めているかもしれない。

 一昨年の年末、ラジオの番組でハワイで一人取材中の梨元さんと電話をつないで話をした時は、既にこの「1人で2カメ方式」は完成していたようだ。

 この日梨元さんに電話した目的は「飯島愛さんの孤独死の真相」について語ってもらうことだった。