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大前研一の「産業突然死」時代の人生論ビジネス

大前研一:日本再生のための「偉大な社会」構想(5/6ページ)

2010.08.17

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社会人がボランティアで教育現場に貢献する

 「国民の社会への貢献」が「グレートソサエティー」構想の中で重要な位置を占めているのである。それについて具体的に説明しておこう。

 わかりやすいのは公立の学校だ。学校には、社会経験のない職業教師が蔓延している。そして少人数学級を実現するために教員数をさらに増やそうという意見すらある。しかし、社会経験のない教師が子どもたちをどれだけリアルに教育できるのか。21世紀、答えのない時代に指導要領を伝達するだけの職業教師は百害あって一利無しである。いまの日本の教育では欧米はもとより新興国との競争にも耐えられる人材は育たない。

 むしろ社会をよく知る社会人がボランティア教師をしたほうが教育のためにはずっといい。例えば弁護士が憲法について教えてみたらどうか。社会科の教師よりずっとリアルに教えられるだろう。家庭科だって、子どもを何人も育てた“熱血主婦”のほうがよっぽど役に立つことを教えてくれる。

 学校には「コンピューターのことがわかる教員が少ない」とも言われている。であればコンピューターメーカーの社員を呼んで教えてもらえばよい。この業界は日進月歩なのだから、最先端のことは専門家に聞いたほうが確かだし役に立つ。

 こうやって教師を民間に頼れれば、現在の職業教師のうち3分の1は削減できるだろう。税金を抑えて、教育の質を上げられる。国民が社会のためにボランティアをするのが「グレートソサエティー」のあり方である。企業も社員に月に1日はこうした社会活動をすることを制度化する。それを実行している企業の法人税を少し低くする、などのインセンティブも効果があるだろう。税金を納めるのも大切だが、税金でやってきたことを減らすのに貢献した人や会社を制度的に報いていくのである。

 次に、遺産を寄付する制度を確立する。実は日本には、空き家が20%にもなる都道府県がたくさんある。空き家のままにするよりは生前に寄付してもいいだろうし、「私の遺産は、3分の1は子供、3分の2は国に寄付します」と遺言できる制度をつくっておく、などが大きな効果を生む。

 公的システムのPFI(民間資金を活用した社会資本整備、Private Finance Initiative)化も挙げられる。選挙・戸籍・住民票・免許などのシステムを民間に委譲する。あるいは民間で自警団をつくれば警察や消防も減らすことができる。

 役所のヘルプボランティアもいいだろう。役所はピーク時と平時の仕事量の差が激しい。ピーク時にあわせて人を雇うから、平時は人材が余ってしまう。平時にあわせて人を雇い、ピーク時はボランティアに頼るようにすれば人件費を抑えられる。

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