日本振興銀行が揺れている。金融庁から一部業務の停止命令を受けたばかりか、事実上の創業者であり、前会長の木村剛氏、西野達也社長ほか3人の合計5人が逮捕された。商工ローン大手SFCG(旧商工ファンド)との債券売買に関連するメールを検査前に削除したことが「検査忌避」にあたるとされた。そんな異常事態のなか、同行の社外取締役を務めていたみずほ銀行の元支店長で作家の江上剛(本名は小畠晴喜)氏が社長に就任。「再建を目指す」と記者会見で語ったものの、楽観が入りこむ余地はない。
足元の深刻事由は「債権二重譲渡問題」だ。これはSFCGが自社の貸付債権を日本振興銀行と新生信託銀行やあおぞら信託銀行などに二重譲渡。債権譲渡条件で他行に劣後するにもかかわらず、振興銀行が先んじて債権回収を実行。権利が消滅した新生信託などが振興銀行を訴えたものだ。
7月27日、最初に出された東京地裁の判決は振興銀行の敗訴だった。450万円ほどを不当利得金として新生信託に返還せよという内容。続けて29日に同地裁であおぞら信託の勝訴が言い渡された。同種の裁判は今後も続く。返還請求が相次げば、一部業務停止命令中の振興銀行の経営そのものを揺るがしかねない。
振興銀行に経営上いくつかの問題があったことは間違いない。だが一連の報道を通じて強い違和感を覚えることがある。それは木村剛元会長の報道のされ方だ。日本銀行に勤務していた90年代、日本の金融界で誰よりもバブル崩壊後の不良債権問題処理に力を注ぎ、小泉政権誕生後は不良債権完全処理へむけて精力を傾注した人物である。
確かに振興銀行の社長、会長就任以降、親族が経営する企業への融資が問題になるなど、社会的批判を甘受せざるをえない軽率さはあったかもしれない。
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