財政問題は、日本だけでなく欧州でも重要なテーマになっている。財政再建を第一に考えれば、歳出を抑えて税収を上げなくてはいけない。しかし景気回復を優先するのなら、税収が少ない中で歳出が増えて財政が悪化していく。財政再建と景気回復はまさに二律背反だ――というのが多くのエコノミストに共通する意見である。
ところが、欧州中央銀行(ECB)のトルシェ総裁は、それを否定して重要なことを言っている。「財政再建をしたら景気が失速するという考え方は間違っている。財政健全化こそ持続的成長につながる」というのである。
ようやくメディアも日本の財政危機の本質を取り上げた
トルシェ総裁の発言はきわめて教科書通りでまっとうな意見だと思う。私も国債の大量発行と財政悪化の問題については、本連載をはじめ近著『民の見えざる手』(小学館)などを含めいろいろなところで繰り返し発言してきた。民主党のバラマキ政策によって財政の悪化に拍車がかかり、このまま突き進めば財政破綻したギリシャ以上に立ち行かなくなる可能性があるのだ、と。
しかし残念ながら、日本のメディアは政府が「消費税増税で財政再建」と言えば「景気に悪影響を及ぼす」と声高に叫ぶだけ。逆に、「景気回復のための財政出動」と言えば、それはそれで「バラマキだ」と批判する。日本の財政をどう立て直すのか、経済をどうやって回復するのかという議論はなく、結局は政府のやることを批判しているだけだ。
ところが、ようやく私が主張するような内容の記事を「日経ビジネス」誌7月12日号が掲載した。「日本倒産 あなたは消費税30%に耐えられますか」という特集を組み、今の財政赤字を解消するには消費税を30%に引き上げなければならないとしている。私にしてみれば「今頃カバーストーリーになっているのも、のん気な話だ」という思いもないではないが、取り上げられないよりはずっと良い。
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