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芦田宏直の「ストック情報武装化論」

第1回 「オンライン自己」という現象

 1991年の大学大綱化から約20年経った。「大綱化」の基本はカリキュラムの自由化。総単位数124以上取れば卒業できるようになった。従来存在した分野別の必修単位科目は設置基準上、指導がなくなり、大学は自由にカリキュラムを組めるようになった。

 少子化を前提にした「学校」の90年代後半以降の危機を前にして、文科省は官許規制を緩めた。「学校」がつぶれるのは文科省の所為(せい)ではなく、自由化による大学のカリキュラム開発力であると、そう文科省は言いたげだった。

 文科省は高度な品質ではなくて、「特長」ある、「個性」ある教育を大学に求めたのである(最近はふたたび「質保証」と言い始めているが、その問題はまた別の機会に論じたい)。

中・高校の進路指導、就職指導も「個性」「自主性」尊重路線に転換

 「大綱化」施策以後、文科省は偏差値試験会場を学校から追い出す方針を打ち出す(1992年「高等学校教育の改革の推進に関する会議・中間報告(文部省調査研究協力者会議)」および1993 年「高等学校入学者選抜の改善について・第三次報告」)。これは偏差値に基づく進路・進学指導を排除するため。偏差値のような単一の指標(言わば知識主義的な指標)による進路・進学指導を相対化しようとしたのである。大綱化の「特長」ある「個性」化路線に向けて中学校や高校の進路・進学指導も生徒の「個性」や「自主性」による指導に転換した。

 大学進学者だけではなく、就職指導も「個性」「自主性」尊重路線に転換。本田由紀(東京大学・教育学)が言う「ダブルトラック」現象(正社員、非正社員のように両者に間に格差がある状態)の基盤となった。

 偏差値教育の知識主義は「暗記主義」にまで狭隘(きょうあい)化されて、基礎学力主義までもが相対化され(1980年代後半の中曽根臨調路線)、意欲重視の進路指導が前面化する。

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