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ゆとり世代、業界の大先輩に教えを請うビジネス

オウム真理教の『A』『放送禁止歌』の森達也さんに聞く~「現場ってなんですか? 編集ってなんですか?」(前編)(1/12ページ)

2010.04.16

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(取材・文=加藤 レイズナ:フリーライター)

 ゆとり世代、22歳の駆け出しフリーライターが、業界の大先輩たちに教えを請うインタビューシリーズ。「疑問に感じたことを恐れず真摯に聞くこと」を得物に、プロフェッショナルのことばを引き出し、若い世代と旧世代双方の「やる気」と「希望」をつなぎます。第2回に登場していただくのは、森達也さん。オウム真理教を素材にしたドキュンタリー「A」、「放送禁止歌」などで知られる映像作家。思いもかけない現場を経験し、それを作品にしていく過程をきく。

森達也さんへの取材依頼

 お忙しいところを失礼いたします。フリーライターの加藤レイズナと申します。

 森さんの新刊『誰が誰に何を言ってるの?』拝読しました。普段、何気なく歩いている場所に存在している看板やオブジェ。確かにおかしな点が多い気がします。立て看板に「防犯カメラ作動中」と書いてあっても気にしないのですが、駅のホームに設置してある、防犯カメラが映し出したモニタを見ているとなんだか監視されているみたいで変な気分に なったことがありました。僕は「ニコニコ動画」などネット上で活動をしているのですが、その活動について2ちゃんねるで叩かれることもあります。個人が「みんな」になった途端暴力になる、という言葉の意味もわかる気がしました。

 知り合いの編集やライター、色々な人から「森さんには絶対あった方がいい」「新人ライターとしてためになる」と言われ続けてきました。ゆとり世代ライターの僕に、ぜひご指導お願いいたします。

致命的に演技力が無かったんですよ

── よく、いま成功している人たちの若い時の苦労話を聞くと「そんな大変なことは絶対無理!」って思うんですよ。森さんは若い時に上の世代からの苦労話とかを聞いてどう思いましたか?

 僕の上って団塊世代なんです。学生の頃に政治運動をやって何回捕まったとかは聞いたけれど、これは苦労話じゃないですね。もっと上の世代の戦争体験は、これは苦労話のレベルとはいえないし。……本当に実際に聞きますか? 人って意外と自分の苦労は口にしないですよ。

森達也(もり・たつや)
映画監督、テレビディレクター、作家。立教大学法学部卒業。1956年5月10日生。広島県呉市出身。役者志望だったが、自分には演技力も運もないと役者の道を諦め、テレビ番組制作会社のテレコム・ジャパンに入社。現在はフリーで活動のかたわら早稲田大学客員教授、明治大学客員教授も勤める。1997年、オウム真理教に密着取材した自主制作のドキュメンタリー映画「A」を公開し話題を呼ぶ。続編の「A2」は山形国際ドキュメンタリー映画祭で市民賞・審査員特別賞を受賞。『A』『A2』(現代書館)、『職業欄はエスパー』(角川文庫)、『放送禁止歌』(解放出版社)『悪役レスラーは笑う?「卑劣なジャップ」グレート東郷』(岩波書店)など著書多数。動物好きな一面もあり、犬と猫を計5匹飼っていて、毎日自分で散歩に連れていっているとか。

── テレビで役者の若いころの再現VTRがあったりするじゃないですか。実際に聞いたってのはあまりないですが。

 ああそうか。僕も同じような時期がありましたよ。大学出たけれど就職せずに劇団に通っていた。スエヒロでバイトをしているとき、客が残したステーキの切れ端を持ってかえって、仲間たちと食べたりしていました。

── そんなことまでしていたんですか! 大変ですね。

 もちろん齧られた破片はさすがに無理。ナイフで切られて残された破片。

── 当時、スエヒロの給料はどのくらいもらっていたんですか?

 配膳会ってところに入っていたんです。皿洗いとか、いろいろいな部署に派遣される。それで時給千百何十円。

── え、想像していたより高いので驚きました。

 20年以上前だから高いですよね。あのころ時給700円とかが普通で、800円までいくといいバイトだった。

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