トップ > 時代を読む新語辞典 > 直葬 ~儀式のない弔いを生んだ社会状況

時代を読む新語辞典ビジネス

直葬 ~儀式のない弔いを生んだ社会状況(1/4ページ)

2010.03.29

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

[画像のクリックで拡大表示]
イラスト:小林大樹

 近年、都市部を中心に「直葬」と呼ばれる葬儀のスタイルが浸透しつつある。これは、通夜や告別式などの儀式を経ず、遺体を直接火葬する簡素な葬儀のことだ。自分らしい葬儀を求める人、葬儀に呼ぶ人が少ない人、葬儀費用の蓄えのない人などがこの形式をとることが多い。このような葬儀のスタイルが流行する背景には、従来的な葬儀が利用者ニーズを満たせなくなった事情も横たわっている。

 直葬とは、儀式をできる限り簡略化した葬儀だ。通常日本の葬儀(一般的な仏教式の葬儀)では、通夜や告別式といった儀式を通じて故人を弔い、火葬の後、納骨または埋葬する手順を踏む。だが直葬の場合、このうち告別式などの儀式部分を省略し、原則火葬のみを行う。授戒(戒名を付けること)などの宗教的手続きも行わない。

 具体的な流れは以下のようになる。まず故人の死亡が確認されると、その遺体を遺体保管施設などで24時間以上保管する。埋葬法の規定により、死後24時間以内には遺体を火葬できないためだ。その後、火葬場に遺体を搬送。炉の前に関係者が集まり簡単な儀式を行い、遺体をそのまま荼毘(だび)に付す。希望すれば読経なども行えるが、これを省くことも多い。また会葬者の人数も、近親の数人程度となることが多い。

 直葬は儀式を極力省くため、その費用も安く済む。一般に葬儀に必要な費用(飲食接待や寺院関係の費用も含める)は200~250万円程度とされる。しかしながら直葬の場合、棺代・搬送費・お花代・人件費程度の負担しかかからないため、総費用が10~30万円程度で済む。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連トピックス

    • 会員登録 ログイン
    • マイフォローとは?
    nikkei BPnet 会員サービス
    トピックを選ぶ!フォローする 自分のメディアを組み立てる! マイフォロー

    ランキング一覧を見る

    おすすめ情報【PR】

    締切間近のセミナー