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猪瀬直樹の「眼からウロコ」ビジネス

猪瀬直樹:全面禁煙化は中小企業や飲食店には厳しい(4/4ページ)

たばこ税は国と地方をあわせ2兆円規模で安定した財源でもある

2010.03.24

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たばこ税の税収減は地方自治体の財政に大きな影響を与える

 海外で全面禁煙による弊害がすでに出ていることをふまえて、検討会では一律的な全面禁煙ではなく、分煙による現実的な対応をとっている。4月から施行される神奈川県の受動喫煙防止条例でも、小規模飲食店の禁煙・分煙は努力義務に緩和された。

 僕のオフィスの近所を見ても、ランチの時間帯は喫煙可能な飲食店の方が繁盛している。会社で吸える機会が減っているから、ランチくらいは飲食店でゆっくり吸いたい人が多いのだ。全面禁煙は、飲食店にとって死活問題となる。

 一方で、全面禁煙は、たばこ税の税収減をもたらすおそれもある。

 たばこ税税収は、国が1兆円、地方が1兆円、合計2兆円規模だ。東京都だけでも、都と区市町村あわせて1200億円となっている。2兆円のたばこ税税収の重要性を忘れてはいけない。

 小さな町や村では、たばこ税税収の重要性がとくに大きい。東京都でも、たとえば奥多摩町で2600万円、檜原村で600万円のたばこ税税収がある。これだけの税収がなくなったら、財政への影響は甚大である。

 法人税は好況時には10兆円の税収があるけれども、世界不況で5兆円に税収が減った。企業が赤字になると税収が減る法人税にくらべて、たばこ税は安定した税収だ。分煙したうえで、喫煙者にたばこを吸ってもらえれば、安定した税収が得られるのだから、こんなにありがたい話はない。

 安易に全面禁止の流れをつくろうとする人たちは、中小企業や飲食店の経営問題、たばこ税税収の重要性をわかっているのだろうか。

猪瀬 直樹(いのせ・なおき)
猪瀬 直樹(いのせ・なおき)

 作家、東京都副知事。1946年、長野県生まれ。1987年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『日本国の研究』で1996年度文藝春秋読者賞受賞。以降、特殊法人などの廃止・民営化に取り組み、2002年6月末、小泉首相より道路公団民営化委員に任命される。東京工業大学特任教授、テレビ・ラジオ番組のコメンテーターなど幅広い領域で活躍中。
 著作に『日本の近代 猪瀬直樹著作集』(小学館)『東京の副知事になってみたら』(小学館101新書)『言葉の力』(中公新書ラクレ)『昭和16年夏の敗戦』『黒船の世紀(上・下)』(中公文庫)『東條英機 処刑の日』(文春文庫)『決断する力』(PHPビジネス新書)など多数。
 最新刊に『解決する力』 (PHPビジネス新書)がある。

オフィシャルホームページ:http://inose.gr.jp/
猪瀬直樹Blog:http://www.inosenaoki.com/
Twitterのアカウント:@inosenaoki
書籍の直販を始めました!:http://www.inose.gr.jp/shop/

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