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茂木健一郎の「超一流の仕事脳」

専門性と人間力の化学反応

訪問看護師・秋山正子

 今回お話を伺った訪問看護師の秋山正子さんは、重い病気を抱えながらも自宅で暮らしたい人たちを20年近くの長きにわたって支えていらっしゃる。療養を続ける本人だけでなくそれを支える家族に対してもさまざまなアドバイスをしたり、心のケアをしたりと個々の家を訪問するというかたちの看護ならではの仕事である。

 多くの人が自宅で療養することを心の中で望んでいたとしても、これまでは病院にいないと危ないと思われていた。秋山さんのような訪問看護を受けることで、家に居ながら病気を治したり、場合によっては人生の最後の日々を過ごすことが可能になった。それができるようになったのは、いざというときにちゃんと病院と連携が取れる看護師という専門性があるからだ。その安心感が在宅の療養を支えている。

 当たり前のことでありながらわれわれが忘れがちなことの1つに、「専門性」と「人間性」の関係がある。看護師という仕事は非常に高度に専門的な仕事であり、だからこそ国家資格もある。秋山さんのお仕事は人と向き合うことの重要性が特に高く、必ず専門性を超えて人間として総合的に向き合って初めてできることがある。専門性がそれを助けている。そういう意味では、人間らしい生き方や人間らしい向き合い方を専門性が支えてくれる非常に素敵な事例だと感じた。

 人間力は大きな要素だが、こと命に関わるようなことがらに関してはそれだけでは安心感につながらない。専門性はしっかり持ちながら、それに人間力が加わることで新たな化学反応が起きる。これをすべての職業で目指すべきなのだろう。

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