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キャリワカ世代に聞くビジネス

ニコ動に衝撃と感動を巻き起こす 無欲アニソンシンガーが貫く“仕事美学”(1/11ページ)

僕たちの仕事の現場から(3)たかび氏

2010.03.15

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(取材・文=大井 正太郎)

(前回はこちら

 やりたいこと、表現したいことを、物心ついたときからインターネットが普通にある「デジタルネイティブ」たちが今、中心となって起こしている「風」を追ってきた。
 第1回に紹介した映像監督の石田祐康さん、第2回の漫画家いけさん。時代の流れに敏感なクリエイターたちは、軽々と、そしてしっかりと、自分のペースで、素晴らしい活動をしていた。
 そして「僕たちの仕事の現場から」シリーズ、今回が最終回となる。アニメソングをカバー、ニコニコ動画で披露されたその歌唱力が話題をさらう、たかびさんだ。

取材の前に

 仕事なんてしたくなかった。不景気の話題を子守唄に育てられ、いい学校いい会社の幻想が崩れたと言われ続けた。大人には、働くことへの喜びや希望ではなく、不平不満の言い方ばかりを教えられた。

 嫌になって高校に進学しなかった僕は、一人でずっと音楽を聴いていた。音楽の中には希望があった。自己表現があった。自分もこういうことがやりたい。音楽はできなくても、言葉なら自分の考えを発信することができる。そう思ってネット上に自分の文章を公開し始めた。

 でも自分の思いを人に伝えることは難しい。ステレオタイプの「個性の尊重」の中に、自分の言葉を見つけることができなくなっていた。ライターの仕事を始めてもずっと悩んでいた。

 あるとき、「ニコニコ動画」で活動するたかびという歌い手を知った。『アンパンマンのマーチ』『君をのせて』など僕が子供のころに馴染んだアニメソングを、ギター一本で多彩にアレンジをして歌っていた。既存の曲なのに自分の世界観で表現する個性があった。『時報を歌にしてみたら原形がなくなった的な感じ風のノリみたいなアレ』は、ニコニコ動画で流れる時報の1フレーズを一曲のオリジナルソングにして75万再生を超える大人気作となり、公式ブログでも紹介されている。

 ニコニコ動画で見い出された才能が人気アニメの主題歌を担当し、チャートの上位に入るような時代だ。実力のある人は表現の場所を問わずに世の中に出るチャンスを与えられるようになった。今や「ニコニコ動画」には音楽業界のスカウトマン達も注目しており、たかびさんもついにラブコールを受けてCDの発売が決まった。まだ僕と同じ24歳だ。

 たかびさんの歌う楽曲はどれも僕が子供のころに聴いて、強い印象を持ったものばかりだった。強いシンパシーを覚えた。憧(あこが)れの姿がそこにあった。ライターとして半端者の自分が話を聞くべき人はこの人しかいないと思った。

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