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「初心」を忘れないすさまじさ

茂木健一郎の「超一流の仕事脳」ビジネス

茂木健一郎:とことん突き詰めながらも
「初心」を忘れないすさまじさ(1/2ページ)

杜氏・農口尚彦

2010.03.08

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 今回お話を伺った農口尚彦さんは、この道60年、77歳になった今でも現役で日本酒作りの杜氏(とうじ)として最高の日本酒作りを追求していらっしゃる。28歳で「菊姫」(石川県)の杜氏となって65歳まで勤め上げ、その後は「常きげん」(石川県)の杜氏として現役を続けている。日本酒造りは毎年微妙に性質が変化する米と、それを発酵させ酒に変える麹菌と酵母をいかにうまく働かせるかにかかっている。仕込みが始まると米の洗浄から発酵の制御など、キメ細やかな管理を行き届かせるために24時間手間をかけ続ける。

 「要を見極めること」が大切だと農口さんは言う。それがどのような結果につながるのかをきちんと把握したうえでさまざまな手間はかけている。ただやみくもにやればいいということではない。これは子育ても同じだし、人を育てる極意でもある。人も、麹・酵母を相手にする酒造りも要するに生き物である点が共通している。

 麹や酵母は生き物でありながら言葉を発するわけではない。だからこそ「ごまかしがきかない。正直でないといけない」と農口さんは言う。この言葉は実は非常に論理的に語られていると感じた。

 農口さんの酒造りは、究極を追い求めながら、しかもマーケットから乖離(かいり)していない。あれだけの人になったら「オレのものづくりはこうだ」というように、自分の感性を押し付けたくなりがちである。農口さんが「菊姫」に移った当初、それまで太平洋側の蔵元で修行を重ね、そこで培った酒造りで良いものを作っても、お客さんに受け入れられなかったという。一部、専門家の間では「この地域でもこんなに良いものができた」と評価されたものの、当時のマーケットではもっと濃い味が求められていた。そのギャップに苦悩するところから農口さんの杜氏としてキャリアが始まっている。

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