前回は、日本の内需産業にとって当面厳しい状況が続くことをお話ししました。そして、内需産業回復は輸出産業の業績拡大に負うところが大きいこともご説明しました。
そこで今回は、日本経済の牽引役である輸出産業の業績を見極める上で欠かせない海外景気の動向、なかんずく主要輸出先である米国経済の動向についてお話ししたいと思います。
注目すべきは、米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が2月24日に行った議会証言です。この議長証言は米国経済を見極める上で極めて重要です。翌25日付の日本経済新聞朝刊に掲載された「議会証言の要旨」に基づいて、その証言内容を引用しながら、各種経済指標を用いて米国経済の現状と今後の行方を検討することにしましょう。以下に示すのは、バーナンキ議長の議会証言(要旨)の前半部です。
金融危機以後、大幅に収縮した米景気は、政府の景気刺激策やFRBの金融政策によって回復が始まった。米経済は2009年後半で年率換算で約4%成長した。民間企業の適切な在庫調整によるところが大きい。今年後半には景気刺激策が縮小する可能性があり、持続可能な回復は民間企業の最終需要が続くかどうかにかかっている。
経済成長のペースは穏やかで、2010年は約3〜3.5%の成長と予想する。失業率の下降はゆっくりとしたペースでしか進まないだろう。
(日本経済新聞朝刊の2月25日付記事より抜粋・引用)
09年下期にGDPがプラスに反転

まず、バーナンキ議長はこう述べています。「金融危機以後、大幅に収縮した米景気は、政府の景気刺激策やFRBの金融政策によって回復が始まった」と。この証言は「国内総生産(GDP)」の動向に基づいています。
世界金融危機の発端となった「パリバ・ショック(=仏銀行最大手のBNPパリバが傘下のファンドを凍結)」が起きたのが2007年8月、危機が金融にとどまらず実体経済に大きな影響を与えるきっかけとなった「リーマン・ショック」が起きたのが08年9月です。
米国の国内総生産の表を見てください。07年(暦年=1〜12月、以下同様)は、パリバ・ショックがあったにも関わらず、GDPは前年比で実質2.1%増とプラス成長を維持しています。ところが、リーマン・ショックが起きた08年は、成長率が0.4%増と大幅に鈍化しています。そして、09年はついに2.4%減とマイナス成長に陥ってしまいました。
一方、09年の成長率を四半期ベースで細かく見ると、様相が変わってきます。1〜3月期は年率6.4%減、4〜6月期は0.7%減とマイナス成長となっていますが、7〜9月期は2.2%増とプラス成長に転じ、続く10〜12月期も5.9%増と成長に弾みがついている様子がうかがえます。
バーナンキ議長は、この四半期ベースのGDPの推移を見て、「(景気)回復が始まった」と判断したわけです。そして、その要因として政府の景気刺激策やFRBの金融政策の効果を挙げているのです。その証言が政治的な思惑も秘めた議会向けの発言であることを差し引いたとしても、議長の言う通り、政府やFRBの政策に効果があったことは否めません。





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