(もり・ひろし=新語ウォッチャー)
“地産地消”という概念が定着して久しい。実は近年、この概念から数多くの派生語が登場した。そのうち代表的なものが「旬産旬消」と呼ばれるもの。地元における旬の食材を旬の時期に食べることを意味する。ハウス栽培におけるエネルギー消費を抑制できるので環境保護に寄与するほか、食文化に季節感を取り戻すこともできる。このような地産地消から派生した新概念が続々と登場しており、現代日本の農業事情や食料事情に対するある種の危機感を浮き彫りにしている。
本題に入る前に、原型の概念である「地産地消」についておさらいしたい。地産地消とは「地域生産、地域消費」を略した言葉で、文字通り、地元で生産した農産物や畜産物を地元で消費することを意味する。
この概念が登場した時期は1980年代で意外に古い。しかも当時の地産地消は「農村部の食生活を改善する」という、現在とは異なる意味合いを持っていた。当時の農村では「ご飯、味噌汁、漬物」を基本形にした食事を取っていたため、栄養の偏りやそれにともなう病気が問題になっていたのだ。そこで栄養不足を補う食材として、当時は安価であった国内野菜(とりわけ地元産の野菜)を食生活に取り込もうとする運動が発生した。
また食生活改善だけでなく、減反政策も地産地消の概念に大きく関わっていた。減反政策では「転作の奨励」も大きな施策となるからだ。また農家所得の向上と安定化の観点からも、野菜栽培が推奨された事情もある。
だが80年代から現代にかけて日本の農業を巡る状況は大きく変化する。農産物の輸入自由化や円高を背景に、安価な農産物が大量に輸入されるようになったのだ。






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