前回は、半導体、鉄鋼、自動車といった製造業、とくに輸出関連産業の景況が回復基調にあることをお話ししました。今回は、それとは対照的に内需産業の回復の道のりがまだまだ険しいことをご説明します。

まず、「広告扱い高」を見てください。
この指標は企業がテレビや新聞、雑誌などの国内メディアに支払う広告・宣伝料の増減を表します。ご覧のように、2008年度(08年4月〜09年3月)以降、前年比マイナスが続いています。マイナス幅は昨秋から縮小しつつありますが、いまだ「底が見えない」という状況です。企業が広告や宣伝に慎重な姿勢を崩していないことが読み取れます。業績が悪くなると、企業は3K(交際費、交通費、広告費)を削減すると言われていますが、今回の景気後退は非常に厳しかったことが、この数字に如実に表れています。
ところで、新聞をお読みになっている方はお気づきでしょう。このところ、新聞広告で多い業種は通信販売です。とりわけ健康食品の通信販売の広告が目立っています。社会の高齢化や健康ブームの影響もあるのでしょうが、かねて健康産業は景気の動向に左右されにくいと言われてきました。そのことが広告扱い高にも表れています。
広告は社会や産業の動向を映す“鏡”でもあります。広告を注意深くご覧になっていれば、今どのような産業や企業に活力があるのかが一目で分かります。
「旅行」は前年比で2ケタの減少が続く
さらに、新聞広告で通信販売と同程度に多いのが割安な旅行商品です。新聞の夕刊では、とりわけそうした広告が多く見受けられます。裏返せば、割安な商品を売りにした旅行会社はそれだけ調子が良い、ということになります。デフレの影響もありますが、景気後退期でも旅行に対するニーズ、とくに時間に余裕があり収入が比較的景気に影響されにくい高齢者の旅行ニーズは根強いと考えられます。

では、「旅行業界全般はどうか」というと、状況は芳しくありません。「旅行取扱状況」を見てください。09年度(09年4月〜10年3月)に入ってから、基本的に前年同月比で2ケタのマイナスが続いています。前述の広告と同じく、こちらもやはり底が全く見えない状況です。
その要因として考えられるのが、高額商品の販売低迷です。企業が出張、とくに海外出張を抑制する、高額のビジネスクラスの使用を禁止するなどのことが影響しています。JALが海外部門での売り上げを大幅に落としたのも、この理由によるところが大きいでしょう。逆に、企業活動の弱さは、こうした旅行業界の数字からも読み取れます。





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