トップ > 猪瀬直樹の「眼からウロコ」 > 猪瀬直樹:「低額宿泊所」はなぜ存在するのか

猪瀬直樹の「眼からウロコ」ビジネス

猪瀬直樹:「低額宿泊所」はなぜ存在するのか(1/4ページ)

介護と救貧対策の狭間につけ込む悪質な業者もいる

2010.02.09

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「無料低額宿泊所」という聞き慣れない施設が近年増えている。なかには、いわゆる「貧困ビジネス」として批判されるケースもある。東京都でも、実態の把握と改善に取り組んでいる。

生活保護費を受給し、そこから利用料を支払う仕組み

 無料低額宿泊所とは、ホームレスなど、住むところとお金がなくて生活に困窮している人に低額で部屋と食事を提供する施設だ。法律上は「無料」とついているが、実際には生活保護を受給してそこから利用料が支払われるので、実態としては「低額宿泊所」が正しい。住むところを貸すことで生活保護費の受給を可能にし、運営する側はそこから安定的な収入を得ていくシステムになっている。

 東京都のガイドラインでは、「低額宿泊所」は1人あたり4.95平方メートル以上、3畳間の広さが基準となる。都内の「低額宿泊所」の相場は、月額住宅費が5万円前後だ。3畳間のアパートなら、都内でもそれくらいで借りることができる。さらに食費(3万円)、光熱水費(1万円)、共益費もしくは運営費(1万円前後)で、合計10万円ほどを支払う契約になっている。23区の場合、13万円の生活保護費からこの利用料10万円を負担している。「低額」といっても、実際にはそれほど安いわけではない。

 現在、「低額宿泊所」は全国に439カ所あり、1万4000人が宿泊している(2009年6月現在)。うち170カ所、4700人が東京都にいる。千葉県、埼玉県、神奈川県を含めた1都3県で全体の8割を占める。

 特別養護老人ホームのような許可制ではないので、特別な資格がなくても都道府県や政令市への届け出だけで開業できる。厚生労働省が調査を開始した2003年には全国280カ所だったが、2009年度までに4割増えた。東京都でも1990年代までは20カ所程度で推移していたが、1999年以降、急激に新規開設が増えている。

 とくに最近は、地価の高い東京ではなく、千葉や埼玉など周辺県で増えている。さらに、行政も把握していない無届け施設に1万人規模で宿泊者がいるとも言われている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ログイン
  • マイフォローとは?
nikkei BPnet 会員サービス
トピックを選ぶ!フォローする 自分のメディアを組み立てる! マイフォロー

ランキング一覧を見る

おすすめ情報【PR】

締切間近のセミナー