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キャリワカ世代に聞く

同人誌からいきなり単行本デビュー
『ねこむすめ』作者、地元で描き続ける(前編)

僕たちの仕事の現場から(2)いけ氏

(取材・文=梶本 竜太)

 やりたいこと、表現したいことがあったら、ネットを使えばいい。物心ついたときからインターネットがある「デジタルネイティブ」の20代にとっては、ごく当たり前のことだ。開かれた場所で、文章を、絵を、音楽を、映像を、多くの人に問うことができる。ツールが進化して一人でやれることも増えた、制作スピードもアップした。一方、仲間が欲しければ、簡単につながることもできる。そんな時代は組織のあり方も変わらざるを得ない。情報の求め方、チームワークのあり方、すべてが新しいやり方に更新されていくだろう。それは、20代が中心となって起こしていく新しい風に違いない。時代の流れに敏感なクリエイターたちに見えている風景とはどんなものだろうか。仕事の現場はこれからどう変わっていくのだろうか。次世代に向けて活躍しはじめたばかりの20代前半の3人のライターが、その未来像に迫るロングインタビューを試みる。

取材の前に

 まだ僕に読まれてない漫画が存在すると思うだけで、生きていける。そう確信した中学時代、夢は漫画編集者になった。世に出てくるであろう才能を探す、それを仕事にできるのは編集者の特権だと思う。だから僕は漫画編集者になりたいのだ。2年前の就活ではどこの出版社からも内定をもらえなかった。大阪の大学に通う僕にとって、就活に費やした交通費の額は大き過ぎた。だけどこの夢だけは諦めきれない。面白い新人に出会えますように。常にそう願いながら月に50冊は優に超える数のコミックスを買って読んでいる。

 僕は、漫画作品が重厚長大になってしまっている傾向があまり好きではない。コミックスだって、数十巻続いてなおも連載中の作品を勧められても、なかなか手が出ない。一話完結の作品、短編集が好きだ。どのタイミングで買っても読者がついていける漫画雑誌は貴重だし、一巻だけをふらっと衝動買いできるコミックスも大事にされるべきだと思う。

 だからいけさんの漫画と出会えたのだ。『ねこむすめ道草日記』の1巻を表紙買い、読んで驚いた。人間と妖怪との関係が軽やかに描かれている。詩情豊かな物語背景、魅力的なキャラ作りから、妖怪がいたらいいな、一緒に生きていけたらいいなという思いがぐんぐんと伝わってきた。初の単行本でこれだけの世界観を組み上げているなんて、こんな新人がいたのか! 調べると、同人活動からプロデビューをした人らしい、僕と同じく地方在住。どんな経緯で漫画家になったのだろう。

 2009年12月30日、東京・浜松町。徳間書店前で担当編集者の猪飼さんに電話をする。地方在住のいけさんもコミケ(コミックマーケットの略。年2回、夏と冬に東京ビックサイトで開催されている、世界基準で見ても最大規模の同人誌即売会。3日間の来場者数は56万人にも及ぶ)のために東京に来ているからと取材日はこの日になった。

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