日本航空の経営問題ばかりが話題になるが、じつは全日空もこの3月決算で500億円近くもの巨額赤字を計上する。日本航空の倒産を横目で見ながら、全日空幹部は1月28日に急逝した山元峯生前社長への思いを新たにしている。
「山元前社長の時代に、当社は思い切ってANAホテルの売却に踏み切った。その時に得た2300億円のキャッシュフローがなかったらと思うと、ぞっとする。JALは他人事ではない」
全日空も債券市場からの資金調達が困難に
絵空事ではない。日本航空の法的整理は必然の判断だったが、そこから派生する航空業界全体への影響について政府はあまりにも鈍感だ。全日空幹部の心配は、もう既に債券市場からの資金調達が困難になっていることだ。これは由々しい事態だ。日本航空とは比較にならぬほど全日空の財務体質はいい。だがその全日空も、リーマンショック後の需要激減のなか、今期の決算で500億近くもの赤字を計上する。マーケットの先行き不安は日本航空も全日空も一緒だ。
しかし全日空がリーマンショックにも耐え、公的資金にも依存せず、自力で運航ができている直接的な背景はホテル売却で得た2300億円のキャッシュフローのおかげだ。山元前社長と親しかった全日空幹部が思い起こす山元の言葉がある。
「日本航空の後ろを追いかけるのはもうやめる」
米国の9.11以降、世界の航空会社はどこもみな苦しみ続けた。燃料価格の高騰もあった。そんななか山元前社長は全日空の体質改善に奔走したが、その際、山元が貫徹した信念は日本航空の呪縛をかなぐり捨てること。ANAホテル売却はそれを象徴する経営判断だった。全日空は自社で出来ることを、確実にやっていく以外に生き残る道はないと割り切った。日本航空へのライバル心を捨て去り、全日空は細い道だが将来への活路を見出してきたという経緯がある。
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