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茂木健一郎の「超一流の仕事脳」ビジネス

茂木健一郎:難問に直面しても「簡単にNOと言わない」生き方(1/2ページ)

移植外科医・加藤友朗

2010.01.19

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 加藤友朗さんは米国コロンビア大学で移植外科医として最先端の医療に携わっておられる。複数の臓器をいったん体外に取り出して施術後戻すという、移植技術を応用した手術など、それまでにないやりかたで世界から注目を集めた。

 「医は仁術」と言われるが加藤さんのお話を伺っていると、まさに「人」の術であり「医は人術」なのだと感じた。あれだけ最先端のことをやり、腕も立ち、尊敬されていながらまったく偉ぶるところがない。加藤さんは外来診療では子供が怖がるからという理由で白衣を着ないスタイルをとっていらっしゃるが、単に患者さんに向き合ううえでの心得などにとどまらず、白衣という権威の中に閉じこもらない加藤さんの医療そのもののありかたにつながっている。医療に限らずどんな仕事においても実はそれが大切なことであり「仕事は人術」であると強く感じた。

 加藤さんはどんな難しい患者さんが来たとしても「NOから始めない」ということを流儀としていらっしゃる。今までにも無理と思えるケースに対して可能性を探り続けることで新たな道を見出したという経験がある。この「簡単にNOと言わない」のは加藤さんの生き方そのものがそうだったのだろう。加藤さんは大学を卒業されたあと、学士入学で大阪大学の医学部に行かれた。当時、医学部で学士入学を受け入れているところは大阪大学しかなく、理系の人間で医学に転じようとする人はその道を考えた。実は私もそれを考えたことがあったのでリアリティを持って分かるのだが、医学部へ行くという不安と、ずっと東京で生活していた者が大阪へ行くという不安があった。結局、加藤さんはNOと言わないで行ったのだが、さらに米国へ渡るときにも日本の医局での安定した生活を捨てて新しい分野に飛び込んでいった。

 場合によっては手術が24時間を超えることすらある移植外科では、手術が速いのは外科医の評価の要素である。しかし今回大切なポイントだと思ったのは、手術が速いことが必ずしも名医なのではないと加藤さんが気づいたところが偉いと私は思う。加藤さんは時間がかかっても細かい止血などを丁寧に行うことを流儀とされている。

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