前回はドバイショック直後の現地の状況をリポートした。「ドバイの街は十分に賑わっている」と書いたように、すでに出来上がっている魅力あるリゾート施設やショッピングモールなどで今後やっていけそうな印象を受けた。未完成の施設や古くなった施設を処理すれば問題は解決するだろうし、それはUAE(アラブ首長国連邦)の一員であるドバイ首長国にとっては難しいことではない。
しかし、ドバイで「ショック」が沈静化しつつあるとしても、他の国に目をやれば事情は違ってくる。実は現在、ドバイショックの影響をもっとも強く受けているのがヨーロッパだ。そして、いずれヨーロッパから日本へと飛び火する可能性もある。
今回はドバイショックが他国へ波及する可能性について考えてみよう。
ドバイショックの余波はまずギリシャに飛び火した
現在、ヨーロッパで問題になっているのがギリシャの財政悪化だ。これが金融市場に動揺を広げたため、EU(欧州連合)加盟国や欧州委員会はギリシャに対し、財政再建へ直ちに対応するよう強く求めた。また格付け機関フィッチ・レーティングスは12月8日、ギリシャの格付けをA−からBBB+に下げた。アメリカの格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も9日、スペインの格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」へ見直したと発表した。
もっとも私自身は、格付け機関の判定はいい加減なものだと考えている。問題が起こる前に的確な状況判断をして「ギリシャのランクを下げる」と発表してくれていたらいいのだが、格付け機関はなぜかそうはしない。必ず問題が起こってからランクを変える。まさに後出しジャンケンであり、その結果、さらに状況悪化に拍車がかかることになる。
これら格付け機関の対応はサブプライムローンのときも同じだった。問題が起こってから、AAAのランクを付けていた会社を「的確ではない。BBに格下げ」と発表していたのだ。その程度のことなら専門家がやる必要はなく、アマチュアでもできる。格付け機関のいい加減さには腹が立つばかりである。
本題に戻ろう。前述の通り、ドバイショックの一番の被害者はヨーロッパ勢である。ドバイには同じUAE内の兄貴分であるアブダビ首長国がいた。石油産出量が豊富なアブダビが助け船を出してくれれば、ドバイの信用不安をかき消すことが可能だ。信用不安が無駄に拡大することはなく、世界への影響は最小限に止められる。現にすでに先週アブダビは100億ドルの金融支援をドバイに対して行うと発表している。
しかし、ヨーロッパにはアブダビのような豊かな国はない。一国の経済危機の影響をダイレクトに受け止めることになる。もしもギリシャの財政が破綻してしまったら、その対応は極めて難しく、周囲の国に飛び火していく可能性が高い。なぜなら、財政に不安を抱える国はギリシャだけではなく、アイルランドやスペインも財政悪化の問題が度々ニュースになっているからだ。このような状況にあって、ギリシャの財政破綻が現実味を帯びることは極めて危険なのである。
Next:12年前のアジア通貨危機を思い出せ
バックナンバー
- “戦国武将”たちへの権限委譲、デフレ脱却はこれしかない(2012年05月16日)
- “スマホショック”の真っ只中で赤字に転落した任天堂(2012年05月08日)
- ブラックマンデー「前夜」に「日本はずるい」と言い放った米CBS名物キャスターの想い出(2012年04月23日)
- 医療費の高騰で財政はもたない。「病気」を定義し、高齢者も応分の負担を(2012年04月16日)
- 鴻海が事実上の「買収」、シャープは下請けに甘んじるのか(2012年04月09日)
















