トップ > キャリワカ世代に聞く > ニコ動で40万超ヒット
自主制作アニメ作者の頭の中

キャリワカ世代に聞くビジネス

ニコ動で40万超ヒット
自主制作アニメ作者の頭の中(1/5ページ)

~僕たちの仕事の現場から(1)石田祐康氏

2009.12.22

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材・文=加藤レイズナ)

 やりたいこと、表現したいことがあったら、ネットを使えばいい。物心ついたときからインターネットがある「デジタルネイティブ」の20代にとっては、ごく当たり前のことだ。開かれた場所で、文章を、絵を、音楽を、映像を、多くの人に問うことができる。ツールが進化して一人でやれることも増えた、制作スピードもアップした。一方、仲間が欲しければ、簡単につながることもできる。そんな時代は組織のあり方も変わらざるを得ない。情報の求め方、チームワークのあり方、すべてが新しいやり方に更新されていくだろう。それは、20代が中心となって起こしていく新しい風に違いない。時代の流れに敏感なクリエイターたちに見えている風景とはどんなものだろうか。仕事の現場はこれからどう変わっていくのだろうか。次世代に向けて活躍しはじめたばかりの20代前半の3人のライターが、その未来像に迫るロングインタビューを試みる。同世代ならではの感性が、まったりとした穏やかな雰囲気の中に感じ取れるようにお届けする。
 今回登場するのは、石田祐康さん。09年11月に発表した自主制作アニメ「フミコの告白」で一気に注目を浴びる弱冠21歳、京都精華大学在学中の学生。「フミコの告白」は、ネットに公開されるや、たちまち50万近くの再生回数、コメント1000件近く(YouTube)、ニコニコ動画は43万超というヒットを飛ばし、ネット上では大きな評判を呼んだ。この人はどういう人なのか? 「デジタルネイティブ」の頭の中はどうなっているのか。まずは2分22秒の本編を観て(YouTubeニコニコ動画*音声が出ます)、パワーあふれる才能に驚いてみよう。

取材の前にライター加藤が思ったこと

 俺は今、駆け出しのフリーライターをやっている。フリーライターと言っても仕事がなければフリーターと変わりはないわけで、そこが会社勤めのサラリーマンとは違う点でもある。ライターとして仕事をこなしているときふと思った、俺はこのままでいいのだろうか、会社に入って決められた仕事をこなして、給料をもらう生活をしたほうがいいのではないだろうかと。

 そう迷っていたところネットで「フミコの告白」という作品を知る。魂が震えた!調べていくうちにいろいろなことが分かった。すべて個人制作でプロではない、そして作者は俺と年が一つしか変わらない大学生。名前は石田祐康。こんな素晴らしい才能を持っているこの人はいったいこの先どうするのだろうか。アニメ会社に入ってそこで働くのだろうか、それとも一人で黙々と作り続けるのだろうか。気になって仕方がなくなった俺は、石田さんに取材依頼のメールを書き始めていた。

水って侮れないやつなんですよ

部屋に入っていちばん最初に目に付いた目覚まし時計を持ってもらい写真撮影。10年近くこれで朝起きているとか

石田 祐康(いしだ・ひろやす)
映像監督/京都精華大学マンガ学科アニメーション科三回生
1988年生。愛知県出身。幼いころからアニメーションに興味があり、高校、大学とアニメーション関係の学科に入り勉強を続ける。独学で自主制作アニメを作り続け、「フミコの告白」以前、高校卒業制作「空色の梦」などでも注目を浴びており、早くから評価は高い。現在は大学の卒業制作アニメ「rain town」の制作に力を入れている。インターネット上でのハンドルネームはTete。
Teteブログ

── お邪魔します。

石田 狭い部屋ですけどどうぞどうぞ。

── いきなり雨が降ってきましたけど大丈夫ですか?(濡れている。石田さんの家に行く途中、急に雨が振り出し大慌て)

石田 先程まで雨やばいやばい言ってましたけど、なんだかんだで大好きなんですよ、雨バッチ来いって感じです。

── そうだったんですか(笑)。そういえば過去作品の「rain town」(卒業制作作品と同名)などを見ると雨に対して強いこだわりがあるように感じられます。

石田 幼いときの記憶を思い返すと、大抵雨が降ってるんです。ただ水滴が落ちてくる自然現象。でも、晴れ晴れとした天気とは違った独特の空気を持ってるじゃないですか! 何かしら連想させたり、感情を喚起させるものがあったりとか……うまく表現できないんですけど、侮れないやつなんですよ(笑)。そこに昔から惹かれるんです。だからどうしても作品に出さざるを得なくて、今企画してるものもずっと雨が降りっぱなしなんです。

── 卒業制作ですか。

石田 そうです。雨に関して言えばそれが自分の中での一つのけじめという感じで考えてます。池や湖に世界が正反対に映り込んで、それがユラユラ揺れていたり、そういう風景がすごいきれいだと思っています。360度見渡す限り全部水っていう、(ボリビアに)ウユニ塩原っていう場所があるんですよ! 隔てるものが何もないので、上と下が全く一緒でどっちが空なのか分かんなくなっちゃうんです! そこに一度行きたいと思っているんですよ。

── 水が好きなんですか? デスクトップもそうですし(デスクトップの背景をのぞく。水滴が水たまりに落ちた瞬間の画像)。

石田 大学を決めるときに「東京工芸大学」「東京造形大学」「京都精華大学」の三つで迷っていたんですけど、学校が持ってるイメージカラーってのがあって、京都精華大学は「水色」なんですよ。僕は完全にそれにつられました。それと、東京造形はアートアニメ系で東京工芸は多種多様な感じ、京都精華大学は実は最初は謎でしたが、基本的にここはエンタメ系です。他の理由で言えば、京都に行きたかったというのもあります。あと先生が良かったですね。

── 東京に行こうとは思わなかったんですか?

石田 イベントもたくさんあるし、いろんな機会に恵まれてて、そう言った意味では東京はいいですよね。でも、こっちはこっちでのんびりできるだろうなというのと、大学のイメージが相まって京都にしました。

── どんな大学生活を送ってますか?

石田 うーん、アニメ関係のことばかりやっていたので、他の濃度が薄くて(笑)

── (部屋を見回して)フィギュアがいっぱいありますよ。

石田 昔は敬遠していましたが、大学に来て寛容になりました。これはほとんど友人にもらったものです。今では普通に置いてます。親が来ても気にしないようになりました。

── 高校の時は美術科だったそうですね。入ったきっかけはなんでしょうか?

石田 やっぱり絵が好きだったからです。だから美術科に入りました。

── その後に大学に入ってアニメや漫画について勉強していると。

石田 はい、そうです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 会員登録 ログイン
  • マイフォローとは?
nikkei BPnet 会員サービス
トピックを選ぶ!フォローする 自分のメディアを組み立てる! マイフォロー

ランキング一覧を見る

おすすめ情報【PR】

締切間近のセミナー