(聞き手:林田 孝司=フリーライター)

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 12月10日に発売された東芝の55V型新液晶テレビ「CELLレグザ(CELL REGZA)」。スーパーコンピューターに使われる超高速CPU「Cell Broadband Engine」の搭載、店頭価格が約100万円という超弩級の値段ゆえに「モンスターテレビ」と呼ばれ話題になっている。一方でテレビ離れが言われる今、「CELLレグザ」が目指す山の頂はどこなのか。引き続き「レグザ」の商品戦略に携わる東芝 デジタルメディアネットワーク社の本村裕史さんに聞いた。

東芝 デジタルメディアネットワーク社 映像マーケティング事業部 グローバルマーケティング部の本村裕史さん。レグザの商品戦略、マーケティング戦略を担当した

「CELL」の採用によってさらに進化した「超解像技術」

——「レグザ」シリーズには、他社のテレビにはない「超解像」という技術があります。これも「CELL」によって進化したのでしょうか。

本村 超解像技術とは、映像復元技術のことです。普通は高画質化と言えば、エッジ(明るい部分と暗い部分の境界)の強調やエンハンス(品質向上)によって画質を高めていくのですが、超解像は、デジタル化によって失われた本来あるべき画を復元しましょうという技術です。これによって、地上デジタルハイビジョン放送の番組やDVDの映像も、さらに高解像の精密な映像で再現できます。

 これまでの超解像技術は「再構成型超解像技術」と呼ばれ、引き伸ばした映像を独自のアルゴリズムにより一度、低解像度映像に変換し、オリジナルの入力映像と比較、補正していました。これに対して、「CELLレグザ」は普通の「レグザ」よりも上位の超解像技術を搭載しています。いわゆる「CELL」専用の超解像技術です。その一つが「自己合同性技術」。これは、映像の中の一部分と類似したパターンを、同じ映像の中の周辺部分から抽出して重ね合わせることで、画像の復元精度を向上させ、精細感のある映像を再現します。

 もう一つは、色に対する超解像処理です。色の超解像処理は、圧縮されて欠落した色情報の信号を独自のアルゴリズムにより明るさ情報の2分の1まで復元し、豊かな色彩を再現します。これによって、輪郭部のにじみを抑制して画面全体の精細感を向上させます。

「CELLレグザ」に映し出された高精細な花の映像。周りの光の状態によって画質設定を自動的に行う「おまかせドンピシャ高画質3」機能がある。明るさセンサーや色温度センサーを使うことで、色温度1024種類、ダイナミックガンマ128段階、明るさ100段階、色の濃さ32段階、シャープネス32段階、超解像技術による精鋭感の調整32段階、LEDバックライトの制御などを行う