(もり・ひろし=新語ウォッチャー)
ハイブリッド車や電気自動車などが普及するのに伴い、その優れた静音性が問題視されるようになった。モーター走行時の音が静かすぎるため、歩行者が車の存在に気付きにくくなったのだ。これは交通安全の観点から由々しき問題となる。そこで国土交通省は今年この問題に関する検討委員会を設置。11月5日に「疑似エンジン音の義務化」を軸にする対策案を発表した。現在同省は一般からの意見を募っている。
温暖化防止の観点から、近年の自動車市場ではハイブリッド車や電気自動車などのエコカーが普及しつつある。例えば新車販売台数(月別)に占めるハイブリッド乗用車の割合は、今年3月までは5%以内を推移していた。ところがエコカー減税などの影響により、4月以降はこの数字が10%を超えるようになった。また電気自動車の分野でも、三菱『i-MiEV(アイ・ミーブ)』の個人向け販売が来年から始まるなどの動きが登場。各メーカーによる市場創出に向けた動きが加速しつつある。
このようなエコカーは、環境保護だけでなく「静音性」というメリットも生み出した。従来のエンジン走行に比べ、モーター走行は構造的に騒音が少なく済むからだ。とりわけその効果は「発進時」に顕著である。国土交通省の発表資料によると、エンジン車が発進する時の音はおよそ50デシベル弱。これに対してハイブリッド車(モーター発進)の音は30デジベル弱であり、通常の環境音と変わらないレベルに留まっている。
このことは、いわゆる「自動車騒音」の低減に繋がる。環境省の調査(2007年度)によれば、昼夜問わず基準値以上の自動車騒音に悩まされている住宅は、調査対象全体の6%に及ぶ(幹線道路に近接する住宅に限ると9%)。一般に自動車騒音を低減するには自動車の静音化、道路の静音化、交通量の制御、都市計画による建築物の再配置といった対策をとる。エコカーはこのうち自動車の静音化に寄与できる可能性があるわけだ。
ところがこの「静音性」が、交通安全の観点からは困った問題を引き起こす。走行音があまりに静かすぎるため、歩行者が車の接近に気付きにくくなってしまうのだ。
念のため付記しておくと、現在のところ静音性を原因とした交通事故は発生していない。また、エンジン車とハイブリッド車との間で事故発生率にも違いがない(以上、日本盲人会連合や自動車メーカーの報告に基づく国土交通省の資料を参考)。








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