(NPO連想出版 新書マップ編集部 川井 龍介)

「週末起業」という本書にある言葉をみて、知人が「冗談じゃねぇよ、週末ぐらい休ませてくれよ」と、ため息を漏らした。これには笑ったが、ここでいう週末起業の意味するところは、なにも土日も働けというわけではなく本業をもちながら別の収入源をつくりだすことをいう。実際そういうデュアル・ライフを送っている人がまわりにいるかなあと、思いめぐらしてみると一例だけ思いついた。
この人は、レコード会社で働く一方自宅を兼ねた湘南の一軒家でカフェ&バーを開いている。コレクターとして集めたロックやポップスのレコードをずらり配した店内でときおり自らDJとなって音楽イベントを定期的に開いたりしている。ふだんは家族に店を任せ週末に店主登場となる。まさに趣味と実益を兼ね、本業にも関連していて周囲からは羨望の眼差しを注がれているようだ。
本書は、こうした週末起業のすすめであり、その意義と実践の方法を熱く解説している。現在は経営コンサルタント(中小企業診断士)である著者自身もかつてはサラリーマンであり週末起業家だった。これまでにも「週末起業」「週末起業チュートリアル」(ともにちくま新書)を出版。その主張と語り口は体育会系で極めてシンプル。どういうことかというと…。いまや大企業ですら一生を任せられるような安定した勤め先とはいえないなかで、「雇われること」のメリットを見直し、これを機会に独立・起業することを考えてみるべきだ。といってもいきなり会社を辞めるというのではリスクが大きい。まずは、会社員という安全地帯に身を置きながら、空いた時間をみて副業を始めよう、というのだ。
そのための心構えから着手方法、メリットとデメリット、インターネットを利用するなどした具体的な成功例、そして会社の就業規則との関係上注意することなど、かなりの重複感はあるものの懇切丁寧に説明する。よく、好きなことは仕事にしてはだめだとか、趣味と仕事は分けろといわれるが、「お金のためより、楽しくやること、世の中の役に立って、結果的にお金がついてくることが、成功の秘訣」と力説。とはいっても、これを試してみることができるのは、好きなことはあまりできない会社員をしているから、というのもおもしろい。





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