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時評コラム

Web制作現場の“非常識”

逮捕者まで出た過熱報道が
テレビに暗示するもの

2009年11月18日

規制ロープを超えてまで顔写真を撮ろうとするのは「報道の自由」か?

 もはや「呆れはてる」というべきかもしれない。10日から12日に繰りひろげられたマスコミの大騒ぎである。3年近くも逃げ逮捕されたという話題性はあったとしても、新幹線のなか改札口そして警察署前での大騒動に、眉をひそめた方も少なくないだろう。

 ついに11月12日の警察署前では、TBSテレビの社員が公務執行妨害で逮捕までされている(参照:TBSディレクター現行犯逮捕 警察官の制止振り切り取材 JCASTニュース 11月12日)。目撃したわけではないが、「規制ロープを超え、警察官の制止を振り切って車を追いかけた(同上)」というのだから、ありそうな事態である。

 取材中の報道関係者が逮捕されるのは前代未聞だろう。ただ、それを「報道の自由」に結びつける意見には、いささか抵抗が残る。たしかに「取材活動に対して警察が安易に公的権力を使い、刑事責任を問うのは報道の自由の点で問題(朝日新聞 11月14日 大石泰彦青山学院大教授のコメント)」かもしれない。そんなことが横行したら、いわゆる「国民の知る権利」などカタチだけのものになってしまう。

 しかし、新幹線のなかからの中継も、駅改札口での大混乱も、なにを伝えるための取材活動だったのか、どう考えてもわからない。警察の不手際はあったとしても、そこに見えたのは「過剰なまでの狂乱状況」だけである。仮に、容疑者の顔を撮影するのが目的だったとしても、ほかに効率的で確実な方法があっただろう。

 そもそも、移動中の容疑者の姿を、新幹線のなかから中継する必要があるとは思えない。「規制ロープを超え」てまで、顔写真を撮ろうとするのは「報道の自由」ではない。それは「国民の知る権利」とは、まったく無関係な好奇心の類である。

 しかも、社員が逮捕されたにもかかわらず、11月16日の現時点まで、TBSテレビの公式見解はサイトでは公開されていない。また、見ていた限りでは番組でふれた形跡もないようである。国民が知ることができたのは、他メディアに掲載された「体が勝手に動いてしまった」的な逮捕された本人のコメントだけである。

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