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企業・経営

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猪瀬直樹の「眼からウロコ」


安易な事業仕分けが周産期医療の悲劇を招く

1つの事業につきわずか1時間のヒアリングでは危ない

2009年11月17日  RSS 

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 行政刷新会議の「事業仕分け」作業が今月27日まで計9日間実施される。12日の作業で、「医師確保、救急・周産期対策の補助金等」が予算削減対象となり、約574億円の予算が「半額計上」という扱いになった。「官」が独占している予算の情報を公開したことは、納税者にとって判断材料が増えるのだから、評価されてよい。しかし、1時間で結論を出せるのは市町村のイベント事業のような身近でわかりやすいものを対象にした場合で、今回のやり方はあまりにも安易である。

結論ありきのパフォーマンス

 事業仕分け作業では、1つの事業につきわずか1時間のヒアリングで、事業仕分け人が判定を下している。結論ありきの誘導尋問だから意味がない。これではただのセレモニーである。

 447の対象事業のなかには、いかにもムダとわかる独立行政法人関連の事業も含まれているけれども、緊急性を要するような重要な事業までが乱暴にカットされている。短時間で個別の事業についての是非を決めるのはおかしい。

 たった1時間で削られたのは「医師確保、救急・周産期対策の補助金等」で、NICU(早産児などを受け入れる新生児集中治療室)を増床するための予算が半分に減らされたことについて、僕は腹を立てているのだ。以前も書いたが、NICU増床には次のような経緯があることを知ってほしい。

 昨年発生した、重症妊婦を複数の病院が受け入れ拒否した問題に対応するため、僕が座長を務める東京都の「周産期医療体制整備プロジェクトチーム(PT)」は、収支モデル分析をして、NICU増床に伴うコストを算出した。NICUを増やせば増やすほど膨らむ赤字に対して、「診療報酬を実態に合わせて大幅に引き上げること」と同時に、「補助金を充実させる」ことで、周産期センターにNICUを増床するインセンティブを与えることを提言した。

 厚生労働省も出生数1万人あたり20床というNICUの整備方針を見直し、出生数1万人あたり25〜30床を目標とする、という方針を打ち出しているが、そのための補助金制度が整っていなかった。厚労省の周産期センターへの補助金はNICUに対して出されておらず、M-FICU(母体・新生児集中治療管理室)という別の病床に対してのみ補助を出していた。これでは、インセンティブが働かない。

 東京都のPTが4月24日に提出した報告書では、NICUを補助金の対象にするだけでなく、GCU(回復した新生児を受け入れる回復期治療室)というNICUの出口にあたる後方病床に対しても「診療報酬上の再検討をするなど、その確保について抜本的な対応を図る必要がある」との提言を盛り込んだ。こうすることで、NICUをめぐる新生児の流れがよくなり、NICUの満床状態がより改善されることになる。

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