「自然の油」を、人間の都合に合わせて変化させることの不自然と危険性
ところで、「脂肪がつきにくい」あるいは「コレステロールを下げる」としてトクホに許可された食用油はほかにもある。日清オイリオグループの『ヘルシーリセッタ』『ヘルシーコレステ』、J−オイルミルズの『健康サララ』などだ。これらの食用油は大丈夫なのだろうか?
『ヘルシーリセッタ』は、『エコナ』と同様に「体に脂肪がつきにくい」トクホだ。しかし、問題のジアシルグリセロールは含んでいない。中鎖脂肪酸という脂肪酸が多く含まれていて、その働きで体に中性脂肪がつきにくいという。日清オイリオグループによると、「エステル交換という技術により菜種油とやし由来の中鎖脂肪酸を結び付けている」という。
つまり菜種油に含まれる長鎖脂肪酸を中鎖脂肪酸に置き換える、すなわち「交換」するということである。これは菜種油の脂肪の化学構造が変化するということである。こうした人工的な化学変化によって、予期しえない毒性物質が発生していることはないのか? 日清オイリオグループでは「危険な物質ができることはない」といい、筆者もその言に信を置きたいが、しかし『エコナ』の事件を教訓として安全性を再確認する必要があるとは思う。
また『ヘルシーコレステ』は、植物ステロールを多く含んでいる。植物ステロールは、コレステロールと化学構造が似たもので、コレステロールの吸収を妨害することで、体内の「コレステロールを下げる」という。ただしこれも「植物ステロールを加える工程でエステル交換を用いる」(日清オイリオグループ)とのことだ。『ヘルシーコレステ』と同様に、植物ステロールを化学的に結びつける際に予期せぬものができていないのか、という消費者の疑問にメーカーは真摯に答えるべきだろう。また『健康サララ』も、植物ステロールを加えた油である。念のためにこれらも安全性の再検討を行なう必要がある。
現在、メタボ対策として、さまざまなトクホの食用油が販売されている。しかし、それらは、体内で中性脂肪をできにくくするなどの目的を達成するために、自然の油を人工的に改変させている。『エコナ』の場合、その改変がグリシドール脂肪酸エステルという、予期しえない危険な物質を生み出してしまった。つまり、人間が、自然の油を自分たちに都合のいいような油に変化させたときに、思いもよらぬ毒性物質ができてしまったということである。このことを企業も行政も肝に銘じなければならないだろう。
『エコナ』と同様に、メタボ対策としてトクホに許可された製品は数多い。今回の事件を機に、それらの安全性についても、再検討する必要があるだろう。