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時評コラム

花岡信昭の「我々の国家はどこに向かっているのか」

足元がぐらついてきた鳩山政権

2009年11月12日

「脳科学者」という聞きなれない肩書で活躍中の茂木健一郎氏が、4年間で約4億円の所得の申告を怠っていたことが明るみに出た。「仕事に追われ、税理士に依頼する暇がなかった」としている。

 当方とは収入のケタが違うからなんとも言いようがないのだが、「2、3年前に本や講演などの雑所得が自分で申告するスケールを超えてしまった」「買った本とタクシーの領収書だけ、袋に入れておいたが、全部は残していない」(読売新聞10日付)などという釈明には、思わずクスリと笑ってしまった。

 規模はまったく違うものの、確定申告のさいのどたばたぶりは身にしみて分かるからだ。新聞社勤務時代から外部の雑誌などにアルバイト原稿を書いてきたから、会社からもらう給与のほかに雑所得の件数(金額はともあれ)がやたらと多かった。そのため、自分で申告を続けてきた。

 知り合いに税理士がいないわけではないが、収入額が知られてしまうのも困る。とくに所属していた新聞社は経営状態に波があって、給料の増減が外部に掌握されてしまっては、会社に迷惑をかけかねないといった思いもあった。

 だから、確定申告のやり方はひと通りマスターしてはいるのだが、これで一晩、完全に徹夜になる。茂木氏のように必要書類を袋に投げ込んだりしているだけだから、まず、それを整理してまとめるのに時間がかかる。税制の仕組みは毎年のように変わるから、計算がこれまた厄介だ。

 そんなこんなで、申告期限の最終日の前夜に徹夜して仕上げ、明け方、窓口が24時間開いている都心の郵便局にタクシーで乗り付けて速達で出し、その足で地方講演に向かうといった綱渡りもやった。

 ある年などは、計算してようやく算出した税額がやたらに多い。どこかで間違えたのだろうが、もう一度やり直す時間がない。そのまま提出したら、申告通りに徴収された。税務署は「ここが違っています」と減額修正などしてくれないのだ。

 確定申告の書類には、税理士の署名、押印欄がある。むろん、税理士に頼まなかった場合は空欄でいいのだが、ここに税理士のハンコが押してあれば、すっと通るというのが業界の常識なのだそうだ。

 つまりは、日本の税制の直接税中心主義がこうしたややこしい申告納税制度をつくったといっていい。各種の控除などが税額の計算を一段と厄介なものにしている。素人には分かりにくい煩雑な仕組みにしないと、税理士らの活躍の場がなくなってしまうということか。

 消費税20%時代になれば、税制の仕組みもずいぶんと簡略化されるに違いない。所得税などは収入の多寡を抜きにし、ややこしい控除なども全部やめて、一律○%とやればいい。はるかに透明度は増すはずだ。

 高額所得者には、高いものを買ったり、高級ホテルに泊まったり、何万円かのディナーを楽しんだりすることで、税収に貢献してもらう。一般サラリーマンは可処分所得が増えるから、働く意欲が出る。法人税も他の先進国並みに下げれば、企業の国際競争力は増し、活力が生まれる。

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