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河岸宏和
大きなカキフライ
夏が過ぎ涼しくなってくるころ、昼食時に定食屋さんへ入ると「カキフライ始めました」という張り紙を見ることがあります。注文すると大きなカキフライが皿に盛られて出てきます。いかにも“旬”と感じますが、この大きなカキはいつ収穫されたのでしょうか。
欧米では「Rが付かない月にはカキを食べるな」といわれます。つまりカキの旬は9月から4月の間ですよということです(日本には夏の岩ガキもありますが)。9月にカキが取れ始めるとき、生ガキ、酢のもの、カキ鍋などで食べる旬のカキは、フライにするものよりひとまわり小さいはずです。大きなカキは、その時期にはまだ収穫されていないのです。2月以降、カキが大きくなってから収穫し、フライ用にパン粉を付けて冷凍し、油で揚げればいつでも提供できる状態にして保存しておきます。なので、今の時期昼食で出てくる大きなカキフライは、1年前に収穫したカキかもしれません。
天然ウナギが一番おいしいのは、脂がのってくる秋から冬にかけての季節です。ところが、今ウナギが一番売れる土用の丑は夏場。本来旬ではない時期に、「夏バテを解消する」という理由付けをして、売るために考案された人為的な“旬”なのです。
フランスから輸入された渋皮入りのクリームを使用したモンブランに代表されるように、秋のデザートは栗を使用したものが多くなります。栗はもちろん秋に収穫されます。しかし、よく考えてみると、フランスで今年収穫された栗がモンブランクリームになって日本に輸入されているのでしょうか。栗の甘露煮は、今年の旬の栗を煮たものがショーケースに並んでいるのでしょうか。
栗の甘露煮などは瓶詰め、缶詰で製造され保管されています。瓶詰めの製品は製造後すぐよりも、半年くらいたったもののほうが味がしみておいしくなります。今年できたての栗はすぐにケーキや甘露煮には使われず、その年は1年前の加工品を食べている可能性が高いのです。
また、秋はキノコの季節といわれますが、天然物はほんの一部なので、栽培してスーパーで売られているキノコ類は、一年中手に入ります。ところが、秋になるとキノコが売れるのです。
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