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ひと・話題

売り切れゴメン

第26回 ビジネスエシックスとは

2009年10月26日

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河岸宏和

個人ではしないことを仕事ではしてしまう

 ビジネス・エシックス(Business Ethics)という言葉があります。日本では「企業倫理」と訳され、企業活動における法令順守(コンプライアンス)を含む道徳的規定を示すものです。「社是・社訓」などもその一つでしょう。

 日常生活では倫理感を持って行動する人でも、仕事上で上司の指示を受けたとき、その内容が自分の倫理に反することであっても行ってしまうことがあります。上司に直接指示をされなくても、「そこのところをうまくやるのが君の仕事だろう」、「私にそこまで言わせなきゃ君は分からないのか」などと言われてしまうと、常識的には信じられないようなことを、仕事上で行ってしまう場合があります。

 例えば、ある人は自分の家の前に犬のふんが落ちていれば、文句を言いながらもすぐに片付けるでしょう。ところが、自分の家の周りならきれいに片付ける人でも、仕事上では信じられないことをしてしまった人を私は見たことがあります。

 養鶏場で鶏ふん処理の経費を節約するために、鶏ふんを適切に処理しないで、養鶏場の敷地内に野積みを行っていた責任者がいたのです。自社の土地に積んでいるので、法律上は問題が無くても、野積みにされた鶏ふんからハエが大量に発生し、近所の住民から「ハエが何匹も家の中に入ってきて食事もできない」とクレームが発生していました。また、雨が降ると鶏ふんが雨水に溶けて道を汚してしまっていたのです。その責任者は、近隣のクレームが続いても野積みを止めませんでした。

 個人の生活では自分の常識、倫理観で行動する人でも、「経費節減」と会社に言われてしまうと、信じられないことをしてしまうのです。

産地偽装も倫理感欠如の結果

 食品の産地偽装は、無くなることなく次から次へと発覚しています。「青森産と表示しているりんごジュースに中国産のりんごを混ぜていた」、「国産野菜と表示している冷凍食品に中国産の野菜を混ぜていた」、「国産アサリに中国産のアサリを混ぜていた」など、食品の産地偽装の例はいくらでも挙げることができます。

 “国産”と書いてある包装材に中国産の原料を詰めているのは、一般の従業員が行っています。自分が産地偽装を行っていることは、うすうす気が付いていると思います。しかし、自分から声を上げてしまうと職を失ってしまうという恐怖感から、「いいや、自分はこの商品を食べないから」と思って産地偽装の作業を続けてしまうのです。


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