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大前研一の「産業突然死」時代の人生論


「東アジア共同体」を語る前にEUの歴史を学べ

2009年10月19日  RSS 

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 鳩山首相が「東アジア共同体」構想を国内外にアピールしている。東アジアの国同士が仲良くするのは大変結構なことだが、鳩山氏の考えは曖昧で未熟な部分も見受けられる。そもそも何をもって「東アジア共同体」とするのか定義が不明瞭である。含まれる国はどこなのか、どういう組織になるのか、実現に向けてどのようなステップを踏むのか、そういう基本的な部分がまったく見えてこない。

EUの次の課題はEU大統領選挙。トニー・ブレアかメルケルか?

 鳩山氏の言う「東アジア共同体」のモデルの一つとして考えられるのはEU(欧州連合)だろう。EUは「一つのヨーロッパ」を目指したヨーロッパ各国が歩み寄ってつくられたもので、その始まりは古く、1958年のローマ条約までさかのぼる。その後も各国は関係を強くし、93年のマーストリヒト条約を経て、現在はリスボン条約の批准が大詰めを迎えている。呼称もEEC(欧州経済共同体)、EC(欧州共同体)、EU(欧州連合)という変遷をたどってきている。実に50年以上にわたる忍耐強い超国家への進展であった。

 リスボン条約とは、EUの最高意思決定機関である欧州理事会の常任議長(EU大統領)などを創設するなど、EUの基本ルールを定めるものだ。このリスボン条約が加盟27カ国すべてで批准されれば、EU各国はさらに力強く結束することになる。現在批准していない加盟国はチェコのみとなっている。

 チェコの批准を困難にしているのは、国内に大量にあるドイツの資産である。これは第二次世界大戦中、同国を占領していたドイツが残していったもので、実は現在でもドイツは資産の請求権を手放していない。これはチェコにとっては都合が悪い。資産の中には不動産なども含まれており、現在ではそこにチェコの国民が暮らしていたりするからだ。

 そこでチェコはドイツに対して「過去の資産の請求権を放棄してくれ」と要求している。そんなことができるのか。結論から言えば不可能ではない。事実、「リスボン条約批准の最大の難関」と言われたアイルランドも、リスボン条約に自分たちの要求を書き加えてもらうことで国民の合意を得て、10月3日の国民投票によって批准が承認された。チェコもまたそれを期待しているのだ。

 リスボン条約は、チェコさえ納得すれば、すべての加盟国が批准することになる。順調に進めば今年中には批准が終わり、来年(2010年)からリスボン条約が発効されることになる。そうなると次の問題は、EU大統領の選挙だ。EUの政策機関である欧州委員会のバローゾ委員長がEU大統領に横滑りするという見方もあるが、実際に選挙となればイギリス前首相のトニー・ブレア氏が選ばれる可能性が高いと言われている。ポルトガルの首相経験者であるバローゾ氏には申し訳ないが、彼では初代EU大統領を務めるには力不足と思われるからだ。

 このEU大統領問題については、米タイム誌10月19日号の記事「The Next Step」でも触れられていた。その主張も同じで、「全加盟国が批准した後はEU大統領選びが重要になるが、バローゾ氏では力不足」と指摘し、期待される人材としてブレア氏のほか、ドイツのメルケル首相の名前を挙げていた。やはり世界が納得し、その人の考えに従おうという人材でないと、EU大統領は務まるまい。

Next:EU大統領をめぐるイギリスとヨーロッパの事情

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