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その陰に世界規模での「売る努力」あり

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社会全体が「事件」として捉えてくれた
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EMIミュージック 「ザ・ビートルズのリマスター盤」(2)

2009.10.16

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英国サイドの意向に「支配されている」わけではない

――「楽曲の聴き比べができない」ということもそうですが、英EMIミュージックやアップル・コア(ビートルズの各種権利を管理している英国企業)の意向が日本でのマーケティング展開において障害になるということはありませんか。

 大島 また微妙な質問を(笑)。結論から先に申しますと、「特にありません」。もちろんビートルズは英国の権利保持者によって、音楽はもとより写真などの絵素材も厳重なコントロール下に置かれています。業界用語では「ダマ」っていうんですけれど、いかに広報用途とてビートルズ関連素材を「黙って」使うことは、EMIミュージックの日本法人たる弊社でもできません。

 ただしこれは、英国サイドの意向にがんじがらめになっているということではない。弊社から「こういう素材を、こういう用途で使いたい」と申請し、それが妥当なものであると認められれば、使用許可は下ります。たとえば今回のリマスター盤の発売にあたっても、「1966年の武道館公演でのフィルムを使わせてほしい」と申請し、それがきちんと承認された経緯があります。またビートルズが主演した映画『HELP!』の動画を携帯サイトで公開することもできました。

 販促活動においては、英国サイドと議論をすることもあります。前回、「13のポータルサイトと提携してパブリシティーをさせていただきました」とお話ししましたね。私はサイトをご覧になったファンの方へ、キャンバス地にビートルズのアルバムジャケットをプリントしてプレゼントとしようと思ったのです。そこで英国サイドに許可を求めたのですが、一度はあっさり却下されてしまった。

日本オリジナルのプレゼントはキャンバス地にアルバムジャケットをプリントしたもの。サイズは75センチ四方とかなり大きい。「世界に1点しかない、という意味では貴重なものになったと思います」(大島さん)。写真提供:EMIミュージック・ジャパン

 却下の理由はよく分かりませんが、推測するに「そうするだけの積極的な意味が見出せない」ということだったのではないでしょうか。しかし私は、今回のリマスター盤の発売はビートルズの歴史にとっても大きなメルクマールであり、どうせなら世界に一つしかないものを作りたかったのです。そう訴えたら今度はあっさり許可が下りました。英国サイドにとっても日本は米国と並ぶ巨大な市場ですから、こちらの意見や要望がないがしろにされるということはないですね。

 今回のリマスター盤の発売にあたっては、NHKでニュースとして取り上げられたり、バラエティー番組でも多く紹介されるなどしました。新聞も3大紙はもとより、地方紙でも記事になった。要するに社会全体が「事件」として捉えてくれたのです。それは、自画自賛になりますが我々EMIミュージック・ジャパンのマーケティングの成果であり、微力ながら携わった私も大きな満足を覚えるところです。確かに広報活動においては英国サイドの意向を逐一汲みつつ行わなくてはなりませんが、だからといって「支配されている」というわけではないし、まして達成感もないというわけでもないのです。

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