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キャリワカ

坂口菊恵「男と女の付き合い学」

【最終回】男の競い合い、女の競い合い

 1995年から2005年にかけての世界のトップ100に入る男性テニスプレーヤーを対象に、結婚が順位や勝率にどのような影響をおよぼしているか分析した研究があります。この期間に結婚したテニスプレーヤーは、結婚前の順位や勝率は独身のプレーヤーと変わりなかったのですが、結婚した後ではいずれも下がっていました。先の分析に用いられた歴史的な男性科学者たちに関しても、生涯独身だった人は年をとっても業績のレベルが落ちないのですが、結婚すると数年のタイム・ラグを置いて業績が急速に落ちていきます。分析対象となった学者たちは大部分が18世紀の欧米人です。子どもの送り迎えなど、家族サービスに時間を取られるといったような理由だけで説明するのは難しいのです。

 こうした傑出した業績を残す人たちはもともと才能も優れているのでしょうが、才能を極限まで引き出すのに必要なモチベーションや闘争心を引き出すのに役立っているのが男性ホルモンである可能性が高いのです。ただ、トップ争いをしている上位ほんの一握りの人以外は、もともと能力の個人差も大きいでしょうし、能力を極限まで出し切って勝負した結果が直接業績に現れるような仕事をしているとも限りませんから、これほど明確には結婚や子を持つことの影響は見えてこないでしょう。

 ところで、女性の業績との関連はどうでしょうか。女性にも男性ホルモンがあります。濃度は男性と比べると低いのですが、女性の心身の方がわずかな濃度差の効果に敏感です。男性ホルモン濃度の高い女性は(いわゆる)男性的な価値観や性格傾向を持っていたり、攻撃性が高かったり、リスクを回避しないという特徴があることが知られています。女性の行動に対する男性ホルモンの効果に関しては研究知見が少なく、職業選択や職業上の成功との関連はまだそれほど明らかになっていません。これからの研究課題と言えます。

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