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キャリワカ

坂口菊恵「男と女の付き合い学」

【最終回】男の競い合い、女の競い合い

 人間の社会においてはもちろん、身体的な暴力に訴えることは社会的な成功や地位を上げたり、女性を獲得したりすることには必ずしも効果的ではありません。単純な暴力に対し、人間の文化に見られる、自然界で生き延びていくのに必要なレベルからかけ離れた極端に高度な芸術や学術活動も、もともと男性が女性に対し性的な魅力をアピールするディスプレイから発展したものではないかという説があります。だとすると、芸術や学問における突出した業績についても、行為者の性別や年齢の影響を示すグラフを描いたら、殺人者の性別、年齢別グラフと似たものが描けるのではないでしょうか。

 結果は、予想を裏付けるものでした。歴史に残るトップレベルの科学研究(研究者一般の業績数ではありません)、ジャズアルバム、現代絵画や著書といったそれぞれの分野の業績を、業績を残した人の年齢と性別に従ってプロットしました。そうしますと、分野ごとにピークの年齢は少し異なってくるのですが、男性の業績は比較的若い年代をピークにしてその後急激に落ち込むパターンが見られること、女性の業績は概して少なく年齢による大きな変化は見られない、という殺人者の分布と似たパターンが見られました。

男性ホルモンの働き

 性別と年齢に依存する、似たパターンを生み出す直接的な共通要因は何でしょうか。考えられているものは男性ホルモンの働きです。男性ホルモンは動物の身体のかたちや行動をオスらしくする役割を担っています。加齢とともに減っていくだけでなく、結婚や子どもができることによっても減少することが報告されています。

 女性を獲得して子どもを作るという目標から、家庭を維持して子どもを育てるほうへと心身の構えが変化するためであると考えられます。実は、良い結婚をすることは犯罪者の犯罪行為の抑制に役立つのみならず、突出した職業上の業績を示す男性においては、業績を抑制する効果があるのではと指摘されています。

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