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「所得格差」が「教育格差」を生む冷酷な現実(7/7ページ)

2009.10.13

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社会に出てからの「格差」問題の芽が、ここにある

 将来展望やモチベーションの問題は、社会に出てからの「格差」問題(例えば正社員対派遣社員)にも大いにつながっていると思う。現在大卒の3割が普通の就職ができていないし、就職しても3年以内にやめる確率は3割だ。そういう人たちが「まともな給料を払える正社員職」という限られたパイからはじき出され、そのまま固定化してしまう。そういう人たちの最大の問題は、自分に対する確信を持ったり、将来への展望を持ったりすることができないという点だ。

 こうした問題は、小学校時代からの積み重ねだと思う。学力とモチベーションは表裏一体の関係であり、問題にすべきは表面的な学力よりも自己確信の強さだと思う。競争社会とはそういう面の格差が強く働く社会なのだ。こうした傾向は先進国共通の問題である。社会が富裕化するにしたがって、何に向かって努力するのか目標が設定しにくくなる。その中で所得が高い家庭では目標を保つためのリソースを豊富に持っている一方で、所得が低い層はますます努力の対象を見つけられない危険にさらされる。

 問題の解決に向けて、高等教育機関である大学だけでなく、小学校、中学校、高校ともできることは多いはずだ。(談)

金子 元久(かねこ・もとひさ)
 1950年生まれ。シカゴ大学修了(Ph.D.)。教育学者(高等教育、開発教育)。東京大学教育学部長を経て、現在東京大学大学院教育学研究科・大学経営・政策研究センター長。高等教育研究の第一人者として、その業績は日本のみならず、国際的にも高い評価を得ている。著書に『教育・経済・社会』『教育の政治経済学』(放送大学教材)、『近未来の大学像』(玉川大学出版部、編著)、『大学の教育力――何を教え、学ぶか』(ちくま新書)などがある。
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  • 1.embryonicstemcell2015.08.12

    分析面白く読ませていただきましたが、分析だけでなく識者として特に小学校からの動機付けをどうすればいいのか、もう少し突っ込んだ記述が欲しかったですね。

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