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驚き? 納得? オバマ大統領にノーベル平和賞(1/3ページ)

2009.10.13

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(堀切和雅=エッセイスト・劇作家・ジャーナリスト

 今年のノーベル平和賞候補には、過去最多、205の個人・団体が挙がっていた。下馬評ではコロンビアで紛争解決に取り組むピエダード・コルドバ上院議員、チェチェン共和国で人権擁護活動に取り組んできたリダ・ユスポワ弁護士などが有力候補に挙がっていたが、飛び抜けた候補はいない状況だった。そこへまさかのオバマ大統領受賞である。このサプライズをどう解釈するべきだろうか?

オバマ大統領にとってはまさに「寝耳に水」だった受賞劇

 このたびノーベル平和賞を受賞したオバマ氏は、当日の朝6時に起床するまで自分がノーベル平和賞の有力候補であることすら知らなかったという。通常、ノーベル賞の受賞者は、発表前にスウェーデン科学アカデミーなど(受賞部門によって異なる)から連絡を受けるが、発表時間が米国の東部時間で午前3時前後だったため、大統領への直接の電話はなかった。代わりに連絡を受けていたギブス大統領報道官は大統領の起床時間を待ってから、オバマ氏の寝室に電話した。

 世界の反応は様々だった。CNNは、4月6日にプラハで行なわれた「核廃絶」演説が受賞の理由になったのではないかと報じ、また別の筋は6月4日のカイロ大学での「イスラムとの融和」演説が評価されたのではないかと勘ぐった。

 だが結論をいえば、受賞理由は「期待と希望」だったと言っていい。

 ノルウェーのノーベル賞委員会(他のノーベル賞はスウェーデンの委員会が決めるが、平和賞だけはノルウェー国会から選出した5人の委員が決定する)は、授賞理由をこう述べている。いわく、「オバマ氏が国際的な外交と人々の協調を推し進めるため並外れた努力をしている」「オバマ氏は大統領として、国際政治の場に新たな環境を生み出した。多国間外交を再び中心に据え、国連やその他の国際機関の担う役割を重視した」。

 ノーベル賞委員会のコメントは更に続く。「核なき世界の構想は、軍縮と軍備管理交渉を力強く推し進めた」「オバマ氏が主導権を握ったことで、米国は世界が直面している深刻な気候変動に対処する上で、より建設的な役割を果たしている」「オバマ氏ほど世界の注目を集め、世界の人々により良い将来への希望を与えた人はほとんどいない」「委員会はオバマ氏の『今こそ地球規模の課題には地球規模で対応し、責任を分かち合うときだ』との訴えを支持する」(いずれも共同電による訳より抜粋)。

 ここで注目すべきは「多国間外交を再び中心に据え、国連やその他の国際機関の担う役割を重視した」という言葉である。これは、ブッシュ前政権に極まり、しかし米国の気風全体の中に確かにある一国主義・単独行動主義・国連の軽視(または無視)という姿勢への明確な批判であるからだ。また「核なき世界の構想」という文言については、まさに「よく言った。言ったからには実行してくださいね」という期待の表明だろう。残念ながらオバマ氏の大統領就任以降も、この世界から核弾頭はまだ一発も減じていないが…。

 ただしノーベル賞委員会の授賞理由の中には、相当先走った期待もある。「オバマ氏が主導権を握ったことで、米国は世界が直面している深刻な気候変動に対処する上で、より建設的な役割を果たしている」がそれだ。日本の鳩山首相が温暖化ガス排出を「1990年の基準から25%削減」と見事にいい切って、環境を案ずる人々の喝采と景気悪化を懸念するブーイングを浴びているのに対し、まだ米国は地球温暖化対策から四の五の言って逃げ回っているだけだ。ここまで「オバマが何でもやってくれる」というムードを醸成する意味はどこにあるのだろうか?

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